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【学校探訪記】「中央中等教育学校」の研究(3) 進路実績編

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【学校探訪記】「中央中等教育学校」の研究(3) 進路実績編

中学入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.06.24 
tags:群馬 中等教育学校, 中央中等教育学校, 中央中等教育学校 入試, SGH, スーパーグローバルハイスクール 群馬, 中央中等教育学校 進路

SGHとは国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う学校を文部科学省が指定する制度。生徒の社会の課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力などの国際的素養を身に付けることを目指している。将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ることを目的にしている。

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 開校14年。いまや前高・高高の伝統校と肩をならべる実績を出し続けている中央中等教育学校。清水照久校長は「大学受験はあくまで通過点であって、偏差値で大学を選ばせるような指導をしているわけではない」と穏やかな笑顔でこう切り出した。とはいいながらも、4年連続現役合格率は90%を超え、およそ半数が国公立大学に進学する。連載3回目にあたる今回は、同校の英語教育の取り組みと将来の進路を紹介する。

 

■「地球市民」としての意識は将来への進路につながる
 「全員を東大に入れようとは思っていません。国際社会で活躍できるWorld Citizen(ワールドシチズン)を養成することが本校の目指すところです」。清水校長はこう話す。
 World Citizenとは「地球市民」としての日本人という意味だ。同校は設立から、世界に目を向けた教育を目指してきた。教育目標にも「国際的なコミュニケーション能力の育成」と「日本や世界の文化、伝統に対する深い理解」が掲げられている。
 その柱の一つとなっているのが使える英語力を養成することだ。「英語力」と一くくりにいっても様々だ。テストで得点できる力も「英語力」といえる。しかし同校が志向するのは「使える」英語力だ。コミュニケーションの手段として機能する「英語力」といってもいい。「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」ことのできる力を養成する。もちろん、それは並大抵のことではない。同校ではそれを形にするためのしかけを取り入れ、指導にも工夫を凝らしている。たとえば、それは入学当初の英語学習で握手の仕方から教えているところにも見てとれる。
 卒業生の塚田寛人さんも「中学のころから英語の授業数が多く、ALTの先生と英語で雑談するような学校ですから、英語は自然に身についたように思います。今思えば、受験に対応した英語力だけでなく、物怖じすることなく外国の方と話す力も身につく、たいへん恵まれた環境でした」と中等時代を振り返る。


 4年生・5年生時には「海外語学研修」(希望者)も行われる。実際、5年生の時にこの語学研修に参加した塚田さんは「ボストンでの語学研修は自分にとって大きな経験となりました」と語る。短期間とはいえ、ホームステイをして語学学校に通い、その合間に大学や企業を見学したり、友だちと食事や買い物をしたりといった海外での生活は、世界を身近に感じさせるものだった。
 こういった中等時代の経験は彼の進路選択に大きな影響を与えた。塚田さんは現在、国際支援をするための仕事に従事している。塚田さんが例外なわけではない。多感な時期に涵養された地球市民としての意識は卒業生の中にしっかり根ざしている。
「自分もそうでしたが、中等の卒業生には、大学進学後、一年間の海外留学を経験している人が多いようです。また、海外の大学院に進学している友人もいますね」(塚田さん)

 

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 教員の構成にも特色がある。ALTが学校に配属されるのはいまやどこの学校でも当たり前になってきている。しかし、同校はALTももちろん在籍しているが、それ以外に外国人の正規の講師が3名配置され、指導にあたっている。うち2人の先生は担任も受け持つ。「担任ですからもちろん三者面談も行います。最初はお母さんたちも戸惑うようですね」と中西教頭は笑う。教科指導だけではなくクラス運営まで外国人講師が行っているというから驚きだ。
 同校ではまだ1年生の無邪気な時期からコミュニケーション重視の英語のレッスンを受けている。授業はオールイングリッシュだ。こうした活動を通して、恥ずかしがらずに英語を話すようになる姿勢が身につくという。「照れて話さない子はあまりいませんね。間違った英語を使っても気にしない。平気なんです。こういう環境の中で自然と英語が磨かれていくようです。英語ができるようになるので、難関私大の入試に強いですね」(中西教頭)


■スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校としての取り組み
 中央中等は平成26年からスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定校になっている。群馬県では同校と高崎経済大学付属高校の2校が指定を受けている。
 SGHとは国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う学校を文部科学省が指定する制度だ。生徒の社会の課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力などの国際的素養を身に付けることを目指している。将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ることが目的だ。World Citizenを掲げる同校にはぴったりの制度といえる。

 
 SGHの授業では、子どもたちは6年間かけてじっくり、ディベートやディスカッションの仕方、論文の書き方などを学ぶ。「受験を意識した狭い学力ではなく、真の学問的な探求をすることができます。こういう取り組みは3年だと時間が足りない。6年かけられるから形にすることができるのです」と清水校長。
 1年次は資料の調べ方などの方法論やパソコンの使い方などを学ぶ。2年次は群馬県内の中に課題を見つけ、それを探求する。たとえば、「絹の歴史」をテーマにしたらそれを徹底的に調べる。3年次は国内をテーマに、4年次は海外をテーマにと、視野をどんどん広げていく。
 自分たちが探求しているテーマについて、大学の教授が来て講義をすることもある。これもSGHのプログラムの一環だ。企業人も含め年間50~60名外部の専門家が学校を訪れ、指導にあたる。
 取材したこの日もイスラム世界の研究を専門にしている東京大学の研究者がやってきて同校の生徒に指導を行っていた。
 これを日本語で論文にし、最終的には英語論文としてまとめる。
 「1年生でゼロからスタートします。中学校であれば、立ち上がったところで入試が来てしまいますが、人と意見を言い合うトレーニングをのびのびやれる。継続的な取り組みの中で、ものを考える力が育っていくんだと思います。どういう学問を究めたいか。1年生の段階からこういうことを意識させています」と清水校長は話す。


 ある日の5年生の英語の授業ではCNNのニュースを見て、どういう内容の話題であったかをペアでトークさせたり、6年生であれば、英語でディベートを行ったりしている。
 「大学入試でも課題解決能力や表現力が求められるようになりますが、すでにそういう方向で授業をしています。アクティブラーニングという言葉がさかんに言われていますが、その態勢ができあがっているといえます」(中西教頭)
 SGHは来年度までの指定だが、指定終了後も学校として継続して取り組んでいくという。国から予算が下りなくなっても、すでに中央高校の同窓会が支援を表明している。

 

■進路の先を見据えた教育
 進路実績は抜群だ。直近5年の大学別入学数は東大20名、京大8名、東北大29名、早慶で51名だ。年によって異なるが、およそ半数が国公立大学に進学する。現役の進学率は4年連続で90%超だ。新設校にして、創立100年を超える伝統校と肩を並べる実績だ。

 

卒業生の進路(進路別実人数:現役生のみ)

中央 卒業生進路


 この実績もあって、小6時の入学者選抜検査には多くの児童が集まる。平成29年度の検査には120名の定員に450名の受検者がチャレンジした。倍率は3.8倍だ。公立高校の平均倍率が1.2倍程度であることを考えると、そのすごさがうかがえる。
 輝かしい実績に対して「もちろん受験学力を身につけさせるための指導もしてはいます」と清水校長は話す。しかし校長は目指すべき方向はその先にあると力説する。
「受験の実績ももちろん大切ですが、中等で学んだことが大学での学問につながったということを重視したいですし、卒業した後にこの学校でよかったと思えるような学校づくりをしたいですね」

(編集部=峯岸武司)

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