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【特集】利根商改革の軌跡(3)-教務改革

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【特集】利根商改革の軌跡(3)-教務改革

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.09.12 
tags:利根商, 利根商業, 学校組合立, 利根商 入試, 利根商 募集

寮は設置されているので、遠方から通学することも可能になった。現在40名が寮暮らしをしている。県外の生徒も18名いるという。

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 利根沼田学校組合立利根商業高校(みなかみ町)はこの地域の住民の切なる願いにより昭和33年に誕生し、来年度には創立60周年を迎える伝統校だ。そして、この節目の年に、利根商業は新たなステージに向けて舵を切り始めた。この連載では同校の改革にスポットライトを当て、利根商のいまを報告する。3回目の今回は「学力向上プロジェクト」ともいえる、教務改革に迫る。

 

 矢継ぎ早の学科再編

 利根商の現在の学科構成は、地域経済科、国際経済科、情報経済科と今年度から加わった普通科の4学科。来春からは国際経済科を廃止し、普通科の改編を行う。普通科がスタートしたばかりで、さらにそこに改革の手を加えるところに、同校の「本気度」がうかがえる。


 現在は普通科1クラス(40名)の編成だが、平成30年度から同科をアドバンスコース(特別進学コース)と国際コースの2クラス編成(1クラス32名)にする。コースは2年次からのコース選択制だ。
 アドバンスコースは難関大学の合格を目指す。国際コースは英語力を強化しながら、一部商業科目の選択履修を可能にして、広く産業社会の発展に貢献できる人材育成をはかる。


 「推薦枠に頼らずに国立大学を狙える学力が身につけられる学校をつくる。外に出なくても、大学進学を目指せる学校にすることはこの地域にとっても意義のあることだと思います」と濱野校長は意気込む。
 すでに布石は打ってある。ハード・ソフト両面からの整備は進めてきた。

 

 ネットを利用し学習環境を整備
 今年5月、空き教室を利用した「学習支援センター」を設置し、学年関係なく入会できる「探求同好会」を立ち上げた。
 センターには外部指導者をチューターとして採用し、質問や進路相談をサポートする。遠くまで行かないと学習塾や予備校がない環境で、よりよい学習環境を提供するため、オンラインで学べる予備校とも契約した。
 大学進学に向けて優秀なスタッフを確保するには時間がかかる。インターネットを活用したオンライン学習を導入すれば、コストをかけずに大学受験指導体制を構築することができる。
 学習支援センターは最大で夜10時まで開放している。部活後に利用できるのも魅力だ。

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IMG_3158【写真】学習支援センターの様子


 また、学力向上のために、普通科の生徒全員にタブレット端末を配布、いつでもネットで学習できる体制を整えた。もちろん校舎内はWiFiが完備されている。
「商業高校のインフラがあったからこそ実現できた」と濱野校長は胸をはる。


 こうした改革が功を奏していることはデータにも表れている。同校が実施したアンケート結果では、平成26年に「家庭学習をしない」という生徒が44.6%いたが、この数字は徐々に減少し、平成29年には17.8%になった。
 「2時間以上家庭学習をする」という生徒は平成26年に7.2%だった。この数字は27年、28年も横ばい傾向だったが、平成29年には24.3%に跳ね上がった。

 

「みなかみ留学」ー県外からも生徒を募集
 生徒募集に関しても挑戦的だ。普通科の定員64名のうち、12名を県外出身者のための特別選考枠として確保した。地域経済科・情報経済科の商業系の学科でも12名の県外枠を設けた。合計24名の生徒を県外から募る。この枠の選抜は前期入試・後期入試とは別日程で行われる予定だ。
 それに伴って、今年7月に東京・大阪に会場を設け、学校説明会を実施した。
「現行の定員枠160名の中から県外枠を設ける案もありましたが、利根商は地域さらには群馬県の共有の『財産』でもあります。そこを崩すことはできない。そういう経緯で、新たに24名分、別枠の定員を設定しました」と濱野校長は説明する。


 そして、この県外からの生徒募集を「みなかみ留学」と銘打った。県外から生徒を受け入れることには様々な意見があったことも事実だ。当然、産みの苦しみも味わうことになる。

 しかし、同校はこの「みなかみ留学」の意義を強調する。

 他県からみなかみに「留学」することは、「留学生」自身が故郷を振り返り、故郷とは何かを考えるきっかけにもなる。そこには教育的な価値がある。あるいは県外からの生徒が将来的に地元企業に就職する可能性もある。若者が減少する過疎地域の活性化に貢献する可能性を秘めた一面もある。かりに卒業後、出身地に戻ってしまったとしても、多感な時期に過ごした場所は「第二のふるさと」として思い出の地となるはずだ。観光を基盤とするみなかみに、今度は「お客様」として戻ってきてくれるかもしれない。
 地域にとってマイナスな点は見当たらない。濱野校長は関係各所を説得をした。こうして生まれたのが「みなかみ留学」だ。

 

寮や奨学金制度の充実
 ただ遠方から生徒を受け入れるためには「住む場所」を確保する必要がある。これについても手を打った。峻嶺館とよばれる生徒寮をつくり、受け入れ態勢を整えた。
 寮は4人で1ユニットだが、室内は1人部屋で仕切られ、プライバシーも確保されている。WiFiも完備された環境だ。冷蔵庫・洗濯機など日常生活を送るために必要な電化製品はそろっている。
 女子エリアは防犯も厳重な体制がとられているので安心して生活できる。管理スタッフも常駐している。
 CAFE峻嶺という食堂もあり、調理スタッフが常駐している。栄養バランスのとれた食事を提供している。
 現在、寮には40名が生活している。そのうち、県外出身者は18名いるそうだ。

IMG_3180【写真】寮の外観

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【写真】寮の様子(共有スペースはさながらシェアハウスのようだ。とにかくきれい。)

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【写真】寮の様子(共有スペースには冷蔵庫・洗濯機なども完備されている)

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【写真】寮の様子(各部屋はこのように個室になっていてプライバシーは確保されている)

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【写真】寮の様子(個室はこんな感じでベッドと学習スペースが設けられている)

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【写真】寮内にある「CAFE峻嶺」

IMG_3187【写真】「CAFE峻嶺」の様子。専属の調理スタッフが栄養バランスを考えて料理を提供している。

 

 また、学校独自の奨学金制度も充実させた。
 「利根商奨学生制度」は学業成績・特技・人物など、特にすぐれた資質を持つ生徒に対して奨学金を給付している。月額1~3万円の給付額だ。
 また、寄宿舎寮費免除もある。これは遠方から通学者で一定要件を満たした場合、寮費の一部を免除する制度だ。


 ソフト・ハード両面から矢継ぎ早にスピード感のある改革に着手している利根商。学校の教育水準を引き上げていくことが、長期的に見たときに利根沼田地区の活性化につながる。濱野校長は「大義」という言葉を何度も口にした。利根商改革のその先には、教育の枠を超えた、過疎化の進行する地域の再興も見据えているように映る。

 次回は部活動・課外活動について紹介する。

(編集部=峯岸武司)

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