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【特集】利根商改革の軌跡(4=最終回)-部活動改革

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【特集】利根商改革の軌跡(4=最終回)-部活動改革

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.09.14 
tags:利根商, 利根商 入試, 利根商 部活

「利根商が好きか」という質問に対して、「好き」と答えた生徒の割合は平成26年は80.9%だった。これも右肩上がりに上昇し、平成29年度には91.7%になった。

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 利根沼田学校組合立利根商業高校(みなかみ町)はこの地域の住民の切なる願いにより昭和33年に誕生し、来年度には創立60周年を迎える伝統校だ。そして、この節目の年に、利根商業は新たなステージに向けて舵を切り始めた。この連載では同校の改革にスポットライトを当て、利根商のいまを報告する。4回目の今回は部活動・課外活動改革に迫る。

 

 痛みを伴った部活動改革

  利根商改革元年と位置付けられる平成28年、濱野校長は「やってない部活はやめろ。やっていない部活に顧問や予算をつける余裕はないんだ」と子どもたちに迫った。
  この発言が原因かどうか分からないが、twitterに「校長やめろ」という書き込みが相次いだ。濱野校長は笑いながらこんなエピソードを紹介する。
  中途半端なことをやるくらいなら、やらないほうがましだ。本気で学校を変えていこうという気概と罵詈雑言をものともしない濱野校長の意志の強さを感じさせる逸話である。


  利根商改革の二本目の柱は「部活動で少しやりすぎといわれるくらい活性化させていくということ」だ。
  この「やりすぎといわれるくらい」という部分は学校案内には書かれていない。濱野校長自身の言葉である。ここに改革者としての校長の不退転の決意がにじむ。


  ハードの面では群馬県トップクラスの施設を保有している。この財産を生かして、15の運動部と6つの文化部、3つの商研部が日々切磋琢磨している。

 

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tone sado【写真】部活動の様子(利根商フェイスブックから引用)

<運動部>
野球部 サッカー部 空手道部 弓道部 剣道部 ゴルフ部 柔道部  スキー部 ソフトテニス部 ソフトボール部(女子) 卓球部 バスケットボール部(男子) バレーボール部(女子)ホッケー部 陸上競技部


<文化部>
茶道部  JRC部 新聞部 吹奏楽部  探求同好会 美術部

 

<商研部>
電卓・簿記部 パソコン部 ワープロ部

 

《 利根商 施設マップ 》

 

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  野球部とサッカー部にはプロの指導者を付けている。
  野球部の監督は、近畿大学附属高校をはじめとする関西方面の高校で40年以上にわたり野球部監督として指導に当たった豊田義夫氏が務める。監督としては春の選抜に3度導いてきた実績がある。一度は高校野球から身を引いた豊田監督は利根商から声がかかり、家族を置いて単身群馬にやってきた。

  その豊田監督を昨年秋、産経新聞が取材した。

「大阪には骨になって帰るつもりで群馬にお世話になりたいと思います。グラウンドにぶっ倒れるくらい、自分の命を投げ出すくらいの覚悟がないといけないと思っている」(産経新聞 平成28年9月5日)と決意を語った。

  ここにもまた覚悟の人がいる。

 

  監督には夏の甲子園の経験がない。夏の甲子園大会出場は監督にとっても悲願である。
  すでに80歳を超える年齢にもかかわらず、グラウンドで大声を張り上げる練習の様子はテレビのワイド番組でも紹介された。
  野球部コーチには元ヤクルトで内野手としてプレーした団 野村氏が加わる。豊田監督に声をかけたのも野村氏だ。
  サッカー部のコーチには読売日本サッカークラブユースS、ヴェルディJr・Jrユースなど多くの監督経験を持つ小川章氏をコーチに迎える。


  昨年の平成28年度の実績では柔道部が新人大会 女子個人で県3位、野球部は県ベスト8、吹奏楽部が県吹奏楽コンクールで金賞、パソコン部が研究発表会で最優秀賞などの結果を残している。平成28年度にはゴルフ部も発足させた。


「やめろ言われてやめてしまった部活動もありました。一方で、この言葉で復活した部活もあります。良いものに変えていくためには痛みも必要だったと思います」と濱野校長は振り返る。部活動改革も徐々に成果をあげつつある。

 

 魅力ある学校づくりは地域への貢献
 「利根商が好きか」という質問に対して、「好き」と答えた生徒の割合は平成26年は80.9%だった。これも右肩上がりに上昇し、平成29年度には91.7%になった。「99%なんていう高校もありますから、まだまだです」と濱野校長は笑う。
 高校を盛り上げていくためには、生徒の学校への帰属意識が高いことが要だ。「学校肯定感」の高さは、そのまま学校の雰囲気に直結する。
 生徒に来てもらえる学校にしていくことはあくまで手段でしかない。まずは数が力だ。そして、次の段階として質を高めていく。この継続が学校の魅力をつくっていく。
 学校の魅力を高めていくことにどんな意義があるのか。校長の言葉を借りるなら、それは「持続可能な地域づくりへの貢献」だ。魅力ある学校をその地域に創造していくことが、地域の将来にもつながる。
 そのことを胸に利根商の挑戦はこれからも続いていく。

(編集部=峯岸武司)

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