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公立高校入試への提言(1) 本当に正答率は出せないか? 他県の事例紹介 

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公立高校入試への提言(1) 本当に正答率は出せないか? 他県の事例紹介 

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.11.11 
tags:群馬県教育委員会, 群馬 公立 入試, 群馬 公立 入試 正答率, 秋田県教育庁

秋田の入試結果報告書は今後の指導に活用できるものとなっている。

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 公立入試が終わった後、実施した教育委員会は入試を振り返って入試分析などの報告を公開している。
 群馬県の場合、募集定員、志願者数、受検者数、合格者数などのデータのほかに、学力検査問題の合格者平均と受検者平均、各教科別の合格者平均と受検者の得点分布表を公開している。
 
群馬の情報開示(群馬県ホームページから)

 


 しかし、この公開基準に定めはなく、各都道府県の公開度はまちまちだ。たとえば、正答率の公開でいえば、11府県は正答率を公開していない。
正答率非公表
 
 県教委は「群馬県の入試の場合、記述が多いので一律の正答率を出すことは難しい」と主張する。たしかに、公表していない県を見ると、静岡県、岩手県、石川県など、記述の出題が多い県に集中している。しかし、一方で記述が多い福島県や秋田県などの県は正答率の公表を行っている。

 福島県の場合、正答率の開示に当たり、記述の部分に関しては完全正答率と部分正答率の両方を記載する形で対応している。
 
(図)福島県教育委員会の開示している入試後の正答と正答率
福島国語解答一部(福島県公立入試の国語解答の一部)
福島入試正答率表(福島県の正答率一覧表 赤い枠は記述問題であることを示すため編集部がつけた)

 秋田県では毎年、「一般選抜学力検査の抽出調査 <分析と提言>」という冊子を公開している。この冊子では、出題の基本方針も示され、教科別に一部の問題にフォーカスを当て、実際の授業でどのような取り組みをするべきかまで踏み込んでいる。
 秋田の場合は、すべての答案に基づいた正答率開示ではなく、受験者答案の8%を抽出する形でまとめている。そして、そのデータに基づき、問題一問一問にわたり、詳細に分析している。
 「入学者選抜という条件の下ではありますが、中学校のおける日常の学習成果及び指導上の課題を明らかにすることができた」と冊子の刊行に当たっての章で高校教育課長の眞壁聡子氏は述べている。

 こうした冊子を作る意図は各学校での学習指導計画や学習指導方法の改善のためだ。指導に当たる教員が、子どもたちがどのような問題でつまづいているかを把握し、日常の指導に活用してほしいという狙いがある。
 分析は次の4項目を教科ごとにまとめている。
❶ 小問別の完全正答率と得点率(得点率は部分点も含めた得点の割合)
❷ 得点分布(過年度との比較)
❸ 現状の分析
❹ 授業において取り組みべきこと
 
(図)秋田県教育庁の一般選抜学力検査の抽出調査
 
秋田正答率1
秋田正答率2
(秋田県教育庁編「一般選抜学力検査の抽出調査 <分析と提言>」より)

 図を見ると、記述形式での問題でも、しっかり正答率が示されているのが分かる。秋田県の取り組みが素晴らしいのは、単なるデータの開示にとどまらず、今後の指導の提言を具体的に示している点だろう。同県が全国でもトップレベルの学力を維持しているというのもうなづける調査レポートだ。

 入試は単に合否を決めるためのものではなく、義務教育課程を終えた子供たちがどれだけ学力が身についているかを知る手掛かりにもなる。結果をしっかりまとめていけば、今後の指導上の課題が浮き彫りになり、それを現場にフィードバックすることで、学力向上にもつながっていく。
 残念ながら、すべての都道府県で同様のレポートは作成されていない。ただ、こうした秋田のようなレポートが指導する側にとっては貴重な資料になることは間違いない。
 子供たちの学力向上を目指すのならば、文科省は入試後の調査結果に関して標準化していくべきだ。群馬県も現状のような簡単な入試報告ではなく、秋田県のような取り組みをしてくことを期待したい。
(編集部=峯岸武司)

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