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【塾長のショートコラム(3)】私立高校の選び方❷ 教員の年齢構成と通勤用の車種

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【塾長のショートコラム(3)】私立高校の選び方❷ 教員の年齢構成と通勤用の車種

オピニオン

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2022.12.08 
tags:桐生進学教室, 私立高校 群馬, 私立高校 選び方

私立高校に在籍する先生の年齢構成から見えることがあります。

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 『塾長説明会』とは別の日に個人的な(もちろん生徒の)用事で、遠方の市のとある私立高校に出向いた時のことです。

 『塾長説明会』では塾長たちのためにこの日だけは「教職員用駐車場」をわざわざ空けて私たちに使わせてくれます。塾長たちの多くが自家用車でそれぞれの高校に出向くので「来客用」の駐車場だけでは全然足りないからでしょう。(高校の先生たちがこの日に自分たちの車をどこに置いているのかは不明です。)

 ですから、その日は「来客用」の駐車場に車を駐(と)めても良かったのですが、車道から近いということもあったので。いつも駐め慣れている「教職員用駐車場」に入って行きました。

 しかし、なかなか空きスペースが見つからず、なんだかんだと駐車場を一周してしまいました。そこで、あることに気がつきました。

 その私立高校の教職員用駐車場には「黄色いナンバープレートの車」と「外国産の高級車」が1台も駐められていなかったのです。たまたまその時だけだったのかもしれませんが、とにかく全ての車種が「国産の普通乗用車」ばかりでした。ちなみに「国産のLという高級車」もありませんでした。

 

 本来の目的の用件を済ませた後、お互いに少し時間に余裕があったので、相手の先生にこのことを言ってみました。するとすぐに応えが返ってきました。

 「ウチは教職員に対する待遇がとても良いですからね。普通乗用車で通勤できるくらいの給料はちゃんといただいていますから」

 『なるほど!』と思いました。

【写真】写真はイメージです。本文に登場する学校とはいっさい関係はありません。

 

 そういえば他市内の道路を運転中に「教職員用駐車場」らしき場所の側を通った時にチラッと横目で観た限りですが、そこには様々な車種――「ケイ」も「ガイシャ」も「L」も――の通勤用車両が駐まっていた記憶を持っています。さすがに自分の車を道端に停めてじっくりと眺めたり、ましてや何の用事もないのに勝手に駐車場内に侵入するわけにも行かないので、相変わらず今でも通りすがりに“チラ見”をして前回と代わり映えのない光景を自分の記憶に上書きしています。誰かちゃんと調査してその情報を私に教えていただけると有り難いです。

 

 また、その先生はこんなことも言ってくれました。

「ウチはほとんどが常勤の先生で、非常勤の先生もいないわけではありませんが、ごく僅かです」

『あっ!』と、この「非常勤」という言葉に反応して私のキリタカ時代の記憶が甦ってきました。

 私が桐生高校の1年生のときの英文法の先生は「非常勤講師」の“おじいちゃん”で、授業は板書をほとんどせずに自分の前に開いた講義ノートをただただ読むだけのつまらない授業をしていました。私は中学生の時には既に高校英語(の基礎だけは)を学んでいましたので、その授業は退屈で仕方がありませんでした。つまりは1年間の「高校英文法」をサボってしまったわけです。これが後々の学力の低下と順位の低下を引き起こす重大な要因になってしまいました。

 

 その先生はさらに続けました。

「ウチは新人の先生からベテランの先生まで年齢層はほぼ均一に揃っています。ですからベテランから新人への授業法の伝達も日常的に行われていますし、古参の先生は若い先生から最新の教科教育法や現代的な感覚を学ぶことができます」

『そうか! だからこの学校は活気があるのか!』 『それは“先生たちも互いに常に学んでいる”からなんだな』と、感心し、納得しました。

 

 ここまでくるとお分かりの方も多くいらっしゃると思いますが、前回は公立学校からの「再就職校長」の話でしたが、今回は「再就職教師」のことを取りあげています。そして個人的な意見としてですが、断言します。

 

『定年退職をした元公立中・高の教師を無分別に再雇用する私立学校を、私は信用していない』

 

 “無分別に”というのは、“現役時代には余程の知識と見識と指導力があり、また定年後も若い生徒たちを指導するのに十分な熱意と体力を保持していない限りは”とも言い換えられます。全否定をしているわけではありません。

 

 そして、もう一つの意見も断言します。

『新人の若い先生が定着しない(できない)私立学校を、私は信用しない』

 

 これについては細かく説明する必要はないと思われます。社員が定着しない会社の製品や商品や提案は果たして信用できるのか、というのと同じ次元の話だからです。私立高校の経営・運営上に何も問題がなければ新人の教師たちは自ら辞めてゆく必要はありません。安心して生徒たちの指導と自らのスキルアップに専念することができます。そうではない場合はそうでないことが逆説的に証明されているものと認識するべきでしょう。

「新人の若い先生が定着しない」というのは、つまりは『中堅の経験豊富な先生の数が少ない』そして『常に先生を募集している・補充しなければならない・再雇用でも構わないから』ということに繋がって行きます。

 

 <教師陣の年齢構成>は新人からベテランそして古参の先生まで幅広く均等の割合で分布していることが望ましく、「公立高校を退職した教師を再雇用した“高齢者集団”」が多かったり、逆に「経験の少ない、または私立高校を公立高校の採用試験に再チャレンジするための腰掛程度にしか考えていない“若年者集団”」が多かったりする場合は、前回のコラムでの私の主張と同様に、その私立高校には『私立高校の独自性』すなわち『伝統』や『イズム』が構築されていないことを示しているものと認識せざるを得ません。

 

 『将を射んと欲すれば先ずその馬を射よ』という諺があります。これを逆説的に解釈すれば次のようになるのではないでしょうか。

 『生徒の生活や学力を健全に導きたければ、先ず教職員の生活と体制を健全に保ちなさい』と。

 

 通勤用の<車種>は個人の趣味の問題でもあるし、生徒の指導とは直接関係のないことなので重要度はあまり高くはありません。むしろ“えげつない話”の部類かもしれません。

 しかし、先生たちの<年齢構成>は、看過ごされがちだからこそ意識的に注目しなければならない問題だと思います。いや、むしろ私立高校の側から積極的に情報公開するべき案件なのかもしれません。

 これについて受験生の保護者の皆様のお考えは如何なものでしょうか。

プロフィール

丹羽塾長

<現職>

桐生進学教室 塾長

 

<経歴>

群馬県立桐生高等学校 卒業

早稲田大学第一文学部 卒業

全国フランチャイズ学習塾 講師

都内家庭教師派遣センター 講師

首都圏個人経営総合学習塾 講師

首都圏個人経営総合学習塾 主任

首都圏大手進学塾    学年主任

都内個人経営総合学習塾 専任講師

 

 

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