【公立後期入試】解答欄から出題者の意図を読み取れ!
群馬県公立高校の後期入試まであとわずか。みんなの学校新聞では後期入試の心構え・戦略などを受験生応援企画として連載する。
■解答欄にも出題者の意図がある
この時期、過去問の演習に励んでいる受験生も多いことだろう。過去問は出題者の癖を知るうえで、格好の「教科書」だ。この時、あなどれないのが「解答欄」だ。
東京学参や声の教育社の過去問集には、付録として縮小した実物の解答用紙がついている。実はこの公立入試の解答欄に隠された出題者からのメッセージがあることを、受験生は気づいていただろうか。
■語数指定のない記述は解答欄のサイズで察しをつけよう
群馬県入試は全国的に記述の問題が多い県として知られている。ここで厄介なのが、語数指定がされていない記述問題の存在だ。語数の制限がない記述は理社をはじめ、群馬の入試問題には意外と多い。この問題に対して、どの程度の字数で書けばいいのか、解答する側としては判断に悩む。
しかし、解答欄をよく見ると、その欄の大きさが問題によって異なることに気がつく。一番わかりやすいのは、国語の漢字の読みだ。
解答の字数に合わせて、サイズが違うのが読み取れると思う。
これは出題者が、求める字数に応じて、解答欄のサイズを意図的に変えていることの証拠でもある。この点に着目すれば、指定語数がなくても、どの程度のボリューム感を出題者が求めているかが分かる。
実際、平成25年の社会の、大問1の(4)は判断に悩む問題だった。
(4) 下線部(c)に関して、資料Ⅳは現在の群馬県内の高速自動車道の整備状況である。資料Ⅳからわかる群馬県の高速自動車道路網の特徴を、簡潔に書きなさい。
この問題を見ると、東西南北方向に伸びていることくらいしか読み取れない。社会の得意な受験生なら、「首都圏から信越地方や東北地方へつながる分岐点の役割を担っている」と書けばいいのか、「北関東道が北関東の横の連携を強めている」と書けばいいのか、悩むところだ。この設問だけでは、出題者が要求する解答のレベルやボリューム感が分からない。
ところが解答欄を見ると、意外にスペースが小さい。一行使っていない仕様になっている(下記 赤い太枠で囲った上の部分)。
この時点で、この設問については、あまり詳しい記述を求めていないことが分かる。実際、県教委の発表した模範解答も「東西方向と南北方向に伸びている」という答え。この年、この模範解答に拍子抜けした受験生も少なくなかった。
緊張の強いられる本番。試験を解きながら、どうか解答欄のサイズにも気を配ってほしい。もし自分の作った解答が欄に対して少なすぎたりしたら、もう少し書かなければいけないということだ。逆に、自分の解答が欄をはみ出るくらいのボリュームになったら、そこまでの詳細は求めていないということになる。
過去問を解くというのは、そういう出題側のマインドを読み取っていくことでもある。
受験生にはぜひ参考にしてもらいたい。
(編集部=峯岸武司)