「鎖国」だけじゃない! どう変わる指導要領ー2020年
2月14日に文部科学省から次期学習指導要領の改定案が公表された。この次期指導要領が本格的に開始するのは2020年。センター試験が廃止され、大学入試も大幅に変革する年でもある。メディアでは「鎖国」が教科書から消えることがクローズアップされたが、具体的に何がどうかわろうとしているのか。小中学校の教科ごとのポイントを簡単にまとめてみた。
〈 英語 〉
小学校では、英語に慣れ親しみ「聞く・話す」を中心とした「外国語活動」を小学3・4年生で実施、そこに「読む・書く」を加えた形で小学5・6年生から英語が教科化される。これにより英語が通知表で評価される科目になる。小学生では扱う語彙数は600~700語程度としている。
中学校では原則授業を英語(外国語)で行い、互いの考えや気持ちを外国語で伝え合う、対話的な言語活動を重視する。扱う語彙数は現行の1200語程度から1600~1800語に増やすとしている。
〈 数学(算数)〉
現行で中学生で指導されている「代表値(平均値・最頻値・中央値)」を小6に移行する。さらに分布の様子を視覚的に取り入れられるグラフ「ドットプロット」を追加する。
中学校では、高校で扱われている「四分位範囲」「箱ひげ図」を中2に移行するとしている。
〈 国語 〉
小学校では都道府県名に使用する全漢字を小4までに学習する。これにより、学年配当漢字の移行と新たに学ぶ漢字数が増加する。
また、情報社会をにらんで、引用の仕方や出典の示し方、情報の信頼性の確かめ方などの項目を新設した。
〈 理科 〉
小学校、中学校ともに自然災害に関する内容を前倒しする。現行は小5・6年生で学ぶ内容を小4から実施。中学生は中3で学ぶ内容を中1・2年生から取り扱う。放射能については中2から学習する。
〈 社会 〉
選挙年齢が18歳に引き下げられたことを受け、主権者教育の充実がうたわれた。また竹島・尖閣諸島を「わが国固有の領土」として初めて明記するなど、国土教育の充実をはかる。
歴史教育の進展に対応して、いくつかの表記の変更も行われる。たとえば、「鎖国」は「幕府の対外政策」に、「聖徳太子」は「厩戸王」になる。ただ、聖徳太子については小6では「聖徳太子(厩戸王)」、中学校では「厩戸王(聖徳太子)」とするとしている。
〈 その他 〉
小学校ではプログラミング教育が必修化される。総合的な学習の時間などを活用し、必ず1回はプログラミングを体験し、論理的思考力を身につけるとした。中学校でも、技術家庭の時間を活用し、プログラミングを取り入れる。
(編集部=峯岸 武司)