【コラム】『夏の思い出』(神子澤修)
今から26年前の平成11年夏、阪神甲子園球場では「キリイチ旋風」が吹き荒れました。
一回戦、滋賀県代表の比叡山高校に勝利、二回戦は強豪校である仙台育英(宮城)を撃破、三回戦は静岡高校に粘りながら4-3で勝利。準々決勝戦は優勝候補の神奈川の桐蔭学園に完封勝ち、そして準決勝は鹿児島の樟南高校を9回に突き放し勝利。翌日の決勝戦は勢いに乗る岡山理科大附属を大差で捻じ伏せて、ついに群馬県勢初となる真紅の「大優勝旗」を手にしました。私もキリイチの生徒たちと甲子園で一緒に声を枯らしながら応援していました。
その際に聞いた実話を一つ披露します。
当時、桐生市内のある中学校に通う中3女子の話です。
彼女はその時「不登校状態」でした。その彼女がキリイチの準決勝戦をテレビで見ていて、決勝に進出が決まったとき「私、明日甲子園に行く。キリイチの応援をする」と言ったそうです。翌日、彼女は保護者と朝一番の新幹線で阪神甲子園球場に出向きました。そしてキリイチの優勝を目の当たりにすることになります。キリイチの優勝からパワーをもらった彼女はなんと2学期から登校を始めました。志望校の高校へ進学も果たしたそうです。
感動は人間にパワーを与えます。
私の忘れられない『夏の思い出』です。

桐生大学附属中学校 校長 神子澤 修
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