いじめ認知、全国で過去最多76万件超 県内も4678件に増加
文部科学省の調査で全国のいじめ認知件数が過去最多となるなか、群馬県内の小・中・高校でもいじめ・暴力行為ともに増加したことが分かった。アンケートや相談の充実で把握が進む一方、SNSを介した見えにくいトラブルへの対応が課題となっている。
■いじめ認知、全国で過去最多76万件超 県内も4678件に増加
文部科学省が10月29日に公表した「2024(令和6)年度 児童生徒の問題行動・不登校等に関する調査」によると、全国の小・中・高校などで認知されたいじめの件数は76万9022件(前年度73万2568件)で、過去最多を更新した。前年度より3万6454件(5.0%)増加し、児童生徒1000人当たりの認知件数は61.3件(同57.9件)。2020(令和2)年度の減少を経て、4年連続の増加となった。
背景には、いじめ防止対策推進法の周知や、アンケート・教育相談の充実、一人一台端末を活用した心の健康観察など、児童生徒の状況をきめ細かく把握できる体制の広がりがある。また、SNSなどネット上のいじめを積極的に認知する動きも進んでいる。

画像はイメージです(出典:イラストAC)
群馬県教育委員会がまとめた同年度の調査によると、県内の公立小・中・高校・特別支援学校で認知されたいじめの件数は4,678件で、前年度より348件増。小学校が2,980件(277件増)と全体の6割超を占め、中学校1,000件(131件増)、高校498件(35件増)と続いた。特別支援学校は200件で前年より95件減少した。
いじめの発見経路は「アンケート調査」が最も多く1,304件(認知件数全体の28%)、次いで「本人からの訴え」1,187件(同25%)、「保護者からの訴え」1,044件(同22%)だった。相談相手では「学級担任」が3,591件(同77%)と最も多く、「保護者・家族」(同34%)、「担任以外の教職員」(同10%)が続いた。
いじめの内容は「冷やかしやからかい」「軽い暴力」「嫌なことをさせられる」が上位を占め、高校では「パソコンなどによる誹謗中傷」が74件、「仲間はずれ」58件などSNS関連のトラブルも目立つ。インターネット上のいじめは全体で236件(前年228件)とほぼ横ばいだが、中学校では99件と前年の75件から増加し、増加率は全校種で最も高かった。
■暴力行為も全国・県内ともに過去最多
全国の児童生徒による暴力行為は12万8859件(前年度10万8987件)と18.2%増。群馬県内でも379件(同96件増)と過去最多を更新した。学校別では小学校203件(同53件増)、中学校105件(同16件増)、高校71件(同27件増)。内容別では生徒間暴力が221件(42件増)と最も多かった。
【記者メモ】
いじめ認知・暴力行為の増加は深刻だが、裏を返せば学校が問題をより早く正確に把握できる体制が整いつつあることを示す。一方で、SNSを通じたいじめなど「見えにくい被害」への支援や、教員が抱え込まず組織的に対応できる体制づくりが、今後の大きな課題となっている。
(編集部)
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