生徒の声で学校をより良く 桐商で校長と生徒会がランチミーティング
桐生市立商業高校(星野亨校長)で30日、全日制課程の新生徒会役員と校長によるランチミーティングが同校の食堂で行われた。
同校が今年度から掲げる教育ビジョン「S.P.A.R.K. for our well-being!」を具体的に推進していく取り組みの一環だ。このビジョンは「生徒一人ひとりが自ら考え、行動し、社会に能動的に関わっていく力を育む」ことを目指している。
ランチミーティングは今回で2回目の開催となるが、新役員にとっては初参加の生徒も多く、会場にはやや緊張した雰囲気も漂った。星野校長が「生徒が動いて学校を変え、よりよい学校をつくるために、思いつきでもいいから意見を出してほしい」と呼びかけると、生徒会長の茂木愛寿さん(2年)は「目安箱の電子化」を提案。ほかの役員からは「普段の掃除では手が届かない場所を『清掃週間』を決めて重点的に行うのはどうか」といった意見も出された。
星野校長は県内の他の公立高で行われている生徒主体の取り組み事例を紹介。「『お化粧はどこまでならいいのか』というテーマで話し合った学校もある」と話すと生徒たちは興味深そうに耳を傾けていた。校長は「やりたいことがあればぜひ企画書を出してほしい」と促した。
生徒会主任の中山太教諭は「普段、生徒が校長先生と直接話をする機会は少ないので、とても新鮮で良い取り組み。放課後は部活動で忙しい生徒も多いので、お昼の時間に設定したのもよかった」と話す。
ミーティングを終え、生徒会長の茂木さんは「まだ走り出したばかりの生徒会で遠慮もあったが、『S.P.A.R.K.』が導入されて生徒が学校づくりに関われるようになったのはとても良いことだと思う」と振り返った。

【写真】新生徒会役員と星野校長のランチミーティングの様子(桐商食堂で)
【取材メモ】
「校長先生にこんなこと言っていいのか」「学校だから、自分たちのやってみたことなんて聞いてもらえないのではないか」。生徒目線で考えれば、「先生と生徒」の関係は上下関係であり、まして校長は雲の上の存在だろう。ランチミーティング取材時に感じた「緊張」や「遠慮」は生徒自身が作り上げてきた学校に対する固定観念に起因するのではないかと感じた。学校と生徒の間にある「殻」のようなものだ。
「お化粧はどこまでならいいのか」「炭酸飲料を自販機に導入した学校もある」と星野校長が具体的な事例を話すと子どもたちの空気が少しやわらかくなった。
校長は前任校で「生徒と教員は学校をつくる同僚であり、パートナーだ」という思いで学校改革に取り組んできた。子どもたちが「殻」を破ったとき、本当の意味で「S.P.A.R.K. for our well-being!」は動き出していくのだろう。今後、ランチミーティングが継続されていく中で、子どもたちが「殻」を破っていくことを見守っていきたい。
(編集部)
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