同志社大学・浦坂教授に聞いた 中学生のうちに知っておきたい 超「受験」入門【1】
「高校進学後は大学進学を考えています」。三者面談で担任の先生に話したものの、「大学」っていったいどんなところなの? 受験のあれこれに疑問を持っている中学生のために、同志社大学でキャリア教育も手がけている浦坂純子先生に教えていただきました。(2回中の1)
※この記事はタブロイド判「みんなの学校新聞 4号(2025年11月)」に掲載された記事をベースに配信しています。
![]()
浦坂 純子先生

同志社大学社会学部産業関係学科教授。
大阪府生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科後期博士課程修了。博士(経済学)。著書に『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのかーキャリアにつながる学び方-』、『あなたのキャリアのつくり方-NPOを手がかりにー』(共にちくまプリマー新書)がある。
■■■


普段の勉強が面白くなかったり、しんどかったりすると、「なぜ勉強しなければならないのか」と思うのは自然なことです。勉強した先には試験があり、試験ができなければ先が見通せないといったプレッシャーを感じることもあるでしょう。でも「勉強」と構えてしまうのではなく、新しい知識が身についたり、分からなかったことが理解できるようになったりするのは、純粋に楽しいことではありませんか。物事を深く考え、適切な判断ができるようになるのも、勉強の力です。勉強を通じて、自分の得意・不得意や興味・関心を知ることができ、将来の選択肢を広げることにもつながります。
そして、良き社会の一員として生きていくための土台にもなるでしょう。
人は学ぶことで間違いなく成長します。成長した自分と出会ったとき、初めて「何のために勉強してきたのか」が分かるのです。きっと「勉強してきてよかった」と思えるはずです。
■■■


文部科学省は「生きる力」を、「確かな学力(知)、豊かな人間性(徳)、健康・体力(体)のバランスのとれた力」と定義しており、それらを育てることを学校教育に求めています。ですが、もう少し幅を広げて「生きる力」を考えてみてはどうでしょうか。
私は、作家の田辺聖子さんのいう「気を取り直す才能」こそ、「生きる力」の本質ではないかと感じています。努力しても思い通りにならないことは、人生にいくらでもあります。落ち込んだときに、とりあえず「ご飯を食べよう」「寝てしまおう」と思える力。心が折れそうなときに、もう一度立ち上がる力。それは、知・徳・体だけでは表せない、しなやかな強さです。
「生きる力」には、他者とのかかわりも含まれています。誰かに頼ったり、支え合ったりしながら、自分の言動に責任を持ち、変化に柔軟に対応していく力。未来に希望を持ち続ける力。そうした力を、日々の学校生活を通じて、少しずつ育んでいってください。
■■■


受験制度には様々な理由や背景がありますが、まずは各学校が受け入れられる人数に限りがあるため、「学力」をものさしにして公平に選抜するという目的があります。
学力は測定が容易で、自分の努力次第で高めることができます。もし家庭の経済力で選抜される制度だったら、自分でどうすることもできず、不公平ですよね。もちろん、学力も完全に公平とはいえませんが、それでも一番納得しやすいものさしです。さらに、受験制度は選抜のみならず、「この学校で学びたい人」と「この学校が求める人」を結びつける役割もあります。学力水準がそろえば教育の質も保ちやすくなりますが、同じような人ばかりにならないように、近年では推薦入試などで学力以外の能力や個性、意欲を評価する方法も広がっています。
とはいえ、学力という明確なものさしが通用するのは大学入試まで。社会に出れば、何が評価されるかはもっと複雑です。だからこそ、受験は「自分を知る」ための第一歩でもあるのです。
■■■

浦坂先生の書いた本
『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのかーキャリアにつながる学び方-』(ちくまプリマ―新書)
(編集部)
関連記事
編集部より 記事は配信日時点での情報です。






