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群大、オープンキャンパスをリニューアル~キーワードは「学生主体」×「女子力」

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群大、オープンキャンパスをリニューアル~キーワードは「学生主体」×「女子力」

大学入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.06.20 
tags:千葉商科大, 国士舘大, 女子カフェ, 群大 オープンキャンパス, 群馬大学 学生広報大使, 群馬大学 GU’DAY

群馬大学は今年のオープンキャンパスを「GU’DAY」と名付けた。

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 群馬大学のオープンキャンパスは今年から「GU’DAY」(グッデイ)と名称を変える。すでに任命式が行われた「学生広報大使」がスタッフに加わり、来月9日(日)のオープンキャンパスに向けて、学生主体のイベントづくりを行う。
 大学のオープンキャンパス事情を群馬大学を例に報告する。
 
■女子力を生かした学生募集
 「女子力=集客力ですね」。教育系のあるコンサルはこう口にする。
 「華やかだから客寄せになるとかではなく、要は口コミの拡散力です。たとえば、学習塾でいえば、女の子の多い塾の方が、生徒が集まりやすいという傾向があります」
 実際、こんなデータがある。アメリカ・メリーランド大学の研究結果によれば、男性が一日発する単語数は7,000語、これに対し、女性は平均20,000語。約3倍の開きがある。女性は一日に6,000語以下しか話せないとストレスを感じやすくなるという。
 イベントにしても、ビジネスにしても、まず人を集めることが欠かせない。その集客における女性の力は大きい。

 

 群馬大学も女性の力で大学を活性化しようと様々な取り組みを始めている。
 「女子校ネットワークを使った理工系進路選択支援プロジェクト」はその一例だ。同大のこのプログラムは科学技術振興機構(JST)(濱口道成・理事長)が募集を行っていた平成29年度「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」に採択された。科学イノベーションの世界で女性が活躍できる環境づくりを推進したいというのが取り組みの趣旨だ。
 前出のコンサルは「女子が増えることで、大学がにぎやかになるし、女子の方が後輩たちに積極的に魅力を伝えてくれる可能性が高い。少子化にあって、受験層のすそ野を広げられるメリットもあると思います」とこういった取り組みの背景を説明する。

■変わるオープンキャンパス
 「まずイベントのネーミングも変わりますね」。こう話すのは大学の広報担当だ。
 今年から、「GU’DAY」(グッデイ)と名付けて、より親しみやすさを打ち出した。もちろん変わるのは名前だけではない。大学組織内の広報体制が一新されたのを機に、学生が主体になってイベントを動かす形にシフトした。
 その担い手になるのが今月に始動した「学生広報大使」だ。現在までに210名の応募があり,学生スタッフは,早速来月7月9日(日)開催のオープンキャンパスの準備に向けて動き出した。
 今月5日に行われた任命式では、任命状と個々に名刺(写真)も配布された。申し出のあった学生の名刺には出身校も入っている。
 「今後、高校訪問をしてもらったり、オフィシャルグッズの企画からリリースまでを担当してもらったり、動画配信をしてもらったりを考えています」と大学の広報担当は広報大使の今後の活動について説明してくれた。
 
広報大使名刺【写真】学生広報大使の名刺のイメージ

 オープンキャンパス「GU’DAY」では、群大の魅力がより伝わるように初めての試みが織り込まれる。その初の試みのキーワードの一つが「女子力」だ。
 すでに千葉商科大学や国士舘大学のオープンキャンパスでは行われている「女子カフェ」を群馬大学でも企画している。
「女子カフェ」とは女子限定のイベントで、学生生活や将来のキャリアについてなど、ドリンクやお菓子を囲みながら、女子高生が女子の学生と語らう企画だ。
 
■なぜ「女子カフェ」なのか?
 2016年の在籍数でみると、群馬大学では学生総数5,121人中の女子学生比率は39%だ。教育学部や社会情報学部などはほぼ1:1の男女比であるが、理工学部となると22%と女子比率はぐっと下がる。「女子カフェ」を実施する背景には、とりわけ理工学部の魅力を知ってもらおうという大学側の思惑もある。
 前女出身で現在県外の大学に通う女子学生も「女子だけの環境で3年間過ごすと、同じ空間に男子がいるっていうのは違和感あるし、ちょっと抵抗感もある。とくに理系だと女子が少なそうだし(進学先として選ぶのに)不安はあると思う」と話す。
 群馬をはじめ北関東は男女別学の進学校が多いだけに、理系に興味はあるけれど、環境に対しての不安をもった受験生に、この女子カフェ企画はうってつけのイベントかもしれない。
 実際、先行して行っている千葉商科大学も「男女比8:2」(同大ホームページより)、国士舘大学も世田谷キャンパスで22%、町田キャンパスで34.1%、多摩キャンパスでは17.8%となっている。いずれも女子の比率が少ないのが共通項になっている。
千葉商科大女子カフェ
【写真】千葉商科大の女子カフェ(同大ホームページより引用)

 少子化時代にあって、女子の受験者を確保することは大学経営にとって重要だ。
 リクナビ進学(2015年)で女子高生の「受験したい大学No1」に選ばれた明治大学は、キャンパスにパウダールーム(化粧室)などを整備し、女子学生を意識した環境づくりなど工夫を凝らしてきた。こうした改革が奏功し、1988年に12.9%だった女子学生比率は、2016年には34.4%に跳ね上がった。
 「女子カフェ」というイベントも、女子の感性に訴求することで、少しでもその大学に目を向けてもらおうという戦略といえる。

■学生を巻き込んだ「GU’DAY」
 群大生が授業やサークル活動、アルバイト、就活のことなど大学生活の実態を語る「大学生活トークショー」も今年のオープンキャンパスから実施される企画だ。
 「キャンパスツアー」という企画では群大生がガイド役になり20~30分で荒牧キャンパス内のグラウンドや学部棟、図書館など主要な施設を回る。
 いずれの企画も学生目線で解説してもらうことで、大学の雰囲気を味わってもらうのが狙いだ。
 キャンパスツアーは「ディズニーのジャングルクルーズのキャストが舟に乗ってお客様を案内するようなイメージですかね」と大学の広報担当は話す。

■少子化時代の大学経営
 インターネットの普及で情報発信の仕方は以前とは様変わりしている。少子化時代に志望校の選択肢に入れてもらうためには、彼らの感性に働きかける必要がある。
 大学がアカデミックな空間であることに変わりはない。「昔の大学生に比べて、今の学生の方がむしろ真面目に大学で勉強している」と話す学習塾関係者もいる。
 とはいえ、大学乱立の時代にあって少子化は刻々と進んでいる。大学を運営する側としては「待つ姿勢」ではなく積極的に情報発信をするなど、選んでもらえる工夫も求められる時代だ。
 
 
一日体験デー「GU’DAY」について
 7月9日(日)に荒牧キャンパスで開催される。主に高校1、2年生を対象としているが、中学生や高3生も参加可能。参加には事前申し込みが必要。申し込みはホームページで受け付ける。群馬大学1日体験デー「GU’DAY 2017」についての詳しい内容は公式ホームページで。
 
(取材=峯岸武司)

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