新・沼田高校「勢い感じる」学校説明会ー新制服の披露も
25年度に統合が予定されている沼田高校(本多勝校長)と沼田女子高校(生方一徳校長)は、新「沼田高校」の説明会を25日、利根沼田文化会館で開催した。説明会には中3生450人(利根沼田地区320人とそれ以外の地区130人)とその保護者あわせて約800人が参加した。生徒が主体となって運営された説明会は参加者を飽きさせない工夫が随所に散りばめられ、笑いや歓声あふれるにぎやかな説明会となった。
■五常レンジャー登場に沸く
説明会は生徒会が中心となって進行。両校の前生徒会長のあいさつから始まった。沼高・前生徒会長の井上空大さん(高3)は「今は別々の学校だが、できるだけ多くのことを新しい沼田高校に引き継ぎたいと考えています」と新高校への思いを表明した。沼女・前生徒会長の川端優里菜さんは「(新しい高校になるので)分からないことがたくさんあり、不安な中学生もいると思いますが、今日の説明会で不安が解消できたらいいなと思う」と会場の中3生に語りかけた。
生徒による学校説明の部では、会場後方から沼高のキャラクター「五常レンジャー」が登場。開校以来引き継がれてきた同校の行動規範である「五常の教え」(仁・義・礼・智・信)を寸劇に織り込み熱演。会場からは笑いがあふれた。
その後、両校の生徒の日常をテンポ良くまとめた動画で高校生活を紹介。スライドによる説明では写真をふんだんに使いながら両校の魅力を〝未来の後輩たち〟にアピールした。
全日制の生徒会に加え、沼高定時制の生徒会も参加。授業内容や探究活動、行事の様子などを紹介した。全国の定時制高校の生徒にとって最大の行事である「生活体験発表会」で、同校が昨年、全国大会に出場し、厚生労働省人材開発統括官賞を受賞したことも報告された。
部活紹介の部では、沼女はアーチェリー部が実演。放たれた矢で的に据え付けられた風船が割れると会場からは拍手と歓声があがった。
その後は両校吹奏楽部による演奏。SEKAI NO OWARIの「最高到達点」とフィンガー5の名曲「学園天国」が披露された。選曲にあたっては「新しい学校が『学園天国』のようにドキドキ、ワクワクが待っているように」という願いを込めたそうだ。
■新しい制服の披露
休憩を挟んで、新しい制服が披露された。新制服は生徒へのアンケート実施や生徒委員会が参加し、生徒の意見を取り入れながら決定した。制服は上品な色合いによる風格のあるスタイルに仕上げた。また安全性にも配慮し、袖には反射材を取り入れた。毎日着る制服なので、速乾性や家庭での洗濯が可能な機能を備えるなど、実用性も意識している。2年生と1年生については、従来の制服があるため、新高校発足以降は従来のものにするか新しいものにするか選択できるそうだ。
沼女・前生徒会副会長の遠藤愛碧(あいり)さん(高3)は新制服の検討委員会に最初から関わってきた一人。「沼高のイメージカラーも沼女の校章も共にエンジ。だから新制服のネクタイは両校をイメージできるエンジにした」と制服に込めた思いを語った。
▲新 沼田高校特設サイト
■入学したい気持ちが強まったと中3生
参加者の声を拾ってみた。みなかみ中から来た中学3年生の3人組。宮下さん(仮名)は進学校であることに惹かれて沼高を志望しているが、「実際の雰囲気に触れて、より入学したい気持ちになりました」と満足げ。加賀さん(仮名)は文武両道に魅力を感じて同校を志望。「先輩たちが面白い感じで学校紹介してくれてよかった。自分も入学したい気持ちが強くなりました」と話す。
小山さん(仮名)は利根実業が志望校。「(沼高は)少し気になる高校だった」ので友人に誘われて参加した。実際に参加してみて「気持ちを(沼高に)持って行かれました」。
前橋市から来た保護者は息子と一緒に参加。「(本人が)話を聞いてみたい」と言ったので申し込んだ。実際に通うとなると遠いが、「新しくなると言うことで高校に勢いを感じた」と新・沼田高校に期待を持った。
■新高校に向けて今年は非常に大事な年ー在校生、決意新たに
制服に象徴されるように学校の統合は数年は新旧入り交じる「汽水域」だ。「新しい高校がどんな高校になるのかもっと具体的に知りたかった」という参加した中3生の声もあったが、試行錯誤しながら共に新しい形を創りあげていくところが立ち上げの魅力でもある。実際、来年からの行事などについてどうするかなど、現在、両校の生徒会は将来に向けて合同での話し合いを進めている。
8月に生徒会会長に就任する大竹翔太さん(高2)は「新高校に向けて今年は非常に大事な年。この1年の流れが来年からの新高校に影響すると考えると、来年につなぐため、緊張感をもって、なおかつ楽しく盛り上げていかなければ。生徒みんなが主役の学校づくりをしていきたい」と決意を新たにする。
沼女・新生徒会長の櫻澤になさん(高2)も「不安な面も多いけど、新時代に向けた教育ができる校舎になっているので新沼田高校が中心となって群馬の教育を変えていければ」と新高校の開校に期待を寄せる。
新制服のコンセプトは〝New Traditional”(新しい伝統)。両校の歴史を継承しつつ、新しい学校づくりに向けて、今、両校は動き出している。
受験生ということを配慮し、参加した中学生と保護者については匿名、仮名での表記にしてあります。
(編集部)