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高崎経済大学附属高校 高大連携コラボゼミの15年 

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高崎経済大学附属高校 高大連携コラボゼミの15年 

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2024.07.10 
tags:矢野修一 教授, 高崎経済大学, 高崎経済大学附属高校, 高経附 高大連携 コラボゼミ

 高崎経済大学附属高校(城田潤二校長)が高崎経済大学と行っている高大連携の探究授業「高大コラボゼミ」は同校の“名物授業”だ。はじまりは15年前にさかのぼる。高崎経済大学経済学部の矢野修一教授のゼミ(3年生)と附属高校の3年1組との間の「コラボゼミ」がルーツだ。同ゼミは日本企業のケーススタディーを通じて、専門的な知識やプレゼンテーション能力を高めるとともに、キャリア意識を養う目的で開催された。

「3年1組は文系オナークラスといって、探究学習をするクラスになっています。(高経大附属高では)1年生から1組が文系オナークラス、7組が理系オナークラスといって高大連携しながら探究をしていくクラスになっています」と同校の高大連携部長を務める武井純子先生は説明してくれた。オナークラスは基本、希望者で構成されている。

 「コラボゼミ」での大学生の役割は、高校生に専門的な知識を教えていくこと。「教えるためにはそれだけの知識を自身で身につけなければいけない。それが彼ら大学生にとっての大きな学びにもつながる」と武井先生は協働学習の利点を強調する。高校生にとっても大学での学びについて触れる貴重な機会になる。

【写真】大学生が高校生にレクチャーをしている様子

 

 矢野ゼミの探究授業のテーマは「企業研究」。大企業の退職者によってつくられた社会貢献団体「経営支援NPOクラブ」が企業とゼミの間に入り、訪問先の企業を紹介する。今年は三井化学、明電舎、JFE商事、スマートキャンプなどの6社。この6社の企業研究をそれぞれ6つの班に分かれて4月から進めてきた。

「1つの班は大学生2~3人、高校生6~7人で構成されます。ホームページや統合報告書などの資料を読み込み、企業に事前に送る質問状を班の中で作り上げます」(武井先生)。

 前回の6月11日のゼミでは、それぞれの班が企業に向けてどんな質問状を作ったかを発表し合った。7回目にあたる7月2日は企業への事前の質問内容を踏まえ、企業訪問でさらにどんな質問をしていくべきかを班内で話し合うために集まった。

 ゼミの冒頭で矢野教授は「あなたがたは企業の広報担当ではありません。訪問当日、事前質問に基づいての企業側の説明をただ聞くだけでなく、6月の株主総会でのやり取りなども踏まえながら、突っ込みを入れてきてください」と参加者全員に檄を飛ばした。企業からの説明を表面的に聞くのではなく、そこに質問を重ねて深掘りするところまで矢野教授は求めている。

【写真】ゼミの冒頭で学生・生徒に当日のゼミで進めるべきことを伝える矢野教授

【写真】班に分かれてのゼミ活動の様子

【写真】矢野教授は6つ分かれた班を周りながら問題提起をしていく

 高経大附属高校3年の河合凜汰郎さんは三井化学の班を選んだ。「商品やサービスに触れる機会が少ない企業なので逆に興味が湧いた」そうだ。化学系の企業なので文系クラスの河合さんにとって資料に登場する専門用語に悪戦苦闘している。「表面的な理解ではなく深いところまで理解するのは本当に難しいです。高校生のレベルは超えている気がします。矢野先生の求めているレベルはむちゃくちゃ高いです」と笑いながら話す。

 一方、大学生はどんな思いで取り組んでいるのか。JFE商事の班に所属している高崎経済大学3年の山田剛也さんは「高校生たちとたった3年くらいしか年は離れていないけれど、大学生の資料の読み込み方と彼らの読み込み方には随分ギャップがありました」と大学で積み重ねた3年間で自分自身が成長したことを実感したという。教える立場になったことで、「分かりやすく伝えるためにはどうすればよいかを考えるきっかけにもなった」とコラボゼミに意義を感じている。

 16日には各企業の本社に訪問。その後、夏休みを活用して、8月22日の成果発表会に向けて、プレゼン資料やレポートを仕上げていく。

 

 矢野教授は「コラボゼミを経験してきた高校生・大学生は今では国内外の各地域、各方面で活躍している」とこの15年を振り返る。

「コラボゼミ」はゼミという大学の中核をなす学びの形を高大連携と掛け合わせることで、「地域の人材育成・教育に貢献するモデル」(「高崎経済大学ブックレット7「高崎からのグローカル人材育成」より」)を作り上げてきた。15年目の節目の年。8月の成果発表会に向けて、コラボゼミの活動は山場を迎えている。

(編集部)

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