部活動改革について中高生がワークショップーGメッセで
部活動の地域移行が議論される中、その主役である中高生から、よりよい地域スポーツや文化芸術活動のあり方などについて意見を語ってもらおう。こんな目的で群馬県教育委員会と県地域創生部は13日、Gメッセ群馬(高崎市)で「ぐんま中高校生のための部活動改革ワークショップ」を開催した。会には部活動改革に関心のある県内の中高学生20人(中学生11人、高校生9人)が参加した。
「学校で配布された案内を見て、子どもたちがインターネットから自発的に申し込んでくれたところに意味がある」と企画メンバーの一人である県教委総括コーディネーターの小出利一氏は子どもたちが自分の意思で参加したことを歓迎した。グループワークでは現状の部活動での課題や今後の部活動のあり方など、子どもたちの率直な意見が数多く出された。
■部活動について本音で語る
ワークショップは参加した生徒が中高生混成の4人ずつの班に分かれて意見を出し合うグループワーク形式。進行は対話を通じて社会課題の解決を目指すNPO法人きたのわ(北海道札幌市)のメンバーを中心に進められた。
グループワークの進行役を務めたのは同会の宮本奏さん。会の内容をイラストを交えて記録するグラフィッカーが置かれ、同会の高橋明見さんがその役割を務めた。
宮本さんの進行する班内での自己紹介やゲームなどを通じて、初対面同士で緊張した面持ちだった子どもたちの表情が徐々にほぐれていった。
またワークショップのルールとして意見に対しての責任はなく、発言への否定や批判もしないなど、あらかじめ上手な話し合いの進め方ついて宮本さんからレクチャーがあった。
こういう事前の説明があったからこそ、子どもたちも本音を出すことができた。2班で書記役を務めた県教委健康体育課の飯塚敏雄さんも「時間の経過とともに子どもたちが安心して自分の言葉で発言できるようになっていった」とワークショップに立ち合って子どもたちの変化を肌で感じたそうだ。
【写真】ワークショップをイラストで記録していく高橋さん
【写真】高橋さんのイラスト(途中経過)
【写真】自己紹介の様子①
【写真】自己紹介の様子②
【写真】高橋さんの示したイラストを手前の二人が覚えて、言葉で奥の二人に伝え再現できるかを試すゲーム
【写真】簡単な図形の組み合わせで感情を表す絵文字をつくる
前半のテーマは「今の部活動の好きなところ、嫌なところ、気になっていること」。
少人数で限られた練習しかできない現状を嘆く声や休みの日も練習に参加しなければいけない不満。顧問の先生が部活に来ないことや部活動によって練習場所の不公平感があることなど、各班とも本音が飛び交った。
【写真】高橋さんの描いた前半のグループワークの記録
【写真】グループワークで意見を出し合う様子
【写真】グループワークで出された意見を記録するスタッフ①
【写真】グループワークで出された意見を記録するスタッフ②
【写真】グループワークのまとめを発表する生徒
そして、後半のテーマは「これからの部活、放課後の理想の姿」について。
指導者に対する意見としては「専門外の先生には顧問になってほしくない」という手厳しい声も。「プロの指導者に教えてもらいたい」という意見もあがる一方で、「外部の指導者がきちんとした人かどうか不安」という本音も漏れた。
制度的な部分では「自校にない部活は他校の部活に参加できるように」といった意見や「複数の部活動に参加したい」という声も。学校の学習課題が多すぎて部活との両立を憂う意見も挙がった。
人工芝を整備してほしい、エアコンを入れてほしいといった設備面での要求も出された。
【写真】高橋さんの描いた後半のグループワークの記録
【写真】グループワークで出された意見を記録するスタッフ③
【写真】こんな意見が出ています
【写真】グループワークの様子
【写真】グループワークのまとめを発表する生徒
■ワークショップに参加した生徒の声は
桐生高校3年で陸上部に所属する岩野心葉さんは、案内を顧問の先生から受け取って参加を決めた。実際に参加してみて「自分の考えていなかったような意見が聞け、新しい発見があった」と感想を語った。他校の友達ができたことにも満足げ。
同校3年の須佐劉之介さんは岩野さんに誘われて参加。「最初は緊張したが、班のみんなが明るいメンバーだったので楽しくできた」と話す。将来、体育の教師を目指している須佐さんにとって参考になる意見ばかりだったという。「部活の顧問をやりたいなと思っているので、将来に生かしていきたい」と話してくれた。
閉会に際し、県教委総括コーディネーターの小出利一氏は参加した子どもたちに向けて「(部活動改革を)大人に任せるのではなく、自分事として捉えてほしい。良い環境は自分たちで作る。だから大人は協力してください。そういうスタンスで動いてくれたら嬉しい」と締めくくった。
(編集部)