あ、それってグンマ! 「を」の言い方から覗く群馬学入門
群馬に住んでいると、それが当たり前のようになっている習慣や言葉遣いが、実は他の県から見たら「え?」と思わせてしまうようなものだったりすることがある。今回は、違う出身地の子と話題にしたら楽しめる「異文化交流」のお話です。
(編集部=峯岸武司)
大阪出身で現在、群馬に住んでいるエリさん(仮名)は、伊勢崎市内の英語教室に勤務している。録画してあった「月曜から夜ふかし」(NTV系列)を見て、思わず授業で試してみたくなったことがある。
「『を』ってなんて表現する?」
エリさんの生まれ育った大阪では「難しい方の『を』」と表現していた。
そして、子供たちから返ってきた反応は「重たい『を』でしょう」。テレビの通りで思わず笑った。「地域による表現の違いって面白いですよね」とエリさんは話す。
東京では「を」を「うぉ」、埼玉では「つなぎの『を』」、くっつきの「を」と表現したり、かぎの「を」、腰曲がりの「を」、小さい「を」などと表現する地域もある。世代による違いもあるようだ。
そして、子供たちから返ってきた反応は「重たい『を』でしょう」。テレビの通りで思わず笑った。「地域による表現の違いって面白いですよね」とエリさんは話す。
東京では「を」を「うぉ」、埼玉では「つなぎの『を』」、くっつきの「を」と表現したり、かぎの「を」、腰曲がりの「を」、小さい「を」などと表現する地域もある。世代による違いもあるようだ。
群馬ならではといえば、定規のことを「線引き」というのもそうだ。
関西方面で学生時代を過ごしたみどり市出身のシンヤさん(仮名)は「線引き取って」と友人に声をかけて通じなかった経験を思い出す。そのとき、他県の友人と方言が話題になって、盛り上がった。
「鹿児島では黒板消しを『ラーフル』っていうらしいです。静岡はビーチサンダルのことを『じょんじょん』ということを知りビックリしました」
シンヤさんが学生の頃、目玉焼きに何をつけるかという話も話題になった。これも地域によって違いがあるようだ。「自分は醤油派でしたが、大阪方面の子はソース派、塩派やケチャップ派、マヨネーズ派なんて子もいました」
これについては、地域差もさることながら、家庭環境も影響してそうだが、全般的に食べ物の地域差は結構ある。
「鹿児島では黒板消しを『ラーフル』っていうらしいです。静岡はビーチサンダルのことを『じょんじょん』ということを知りビックリしました」
シンヤさんが学生の頃、目玉焼きに何をつけるかという話も話題になった。これも地域によって違いがあるようだ。「自分は醤油派でしたが、大阪方面の子はソース派、塩派やケチャップ派、マヨネーズ派なんて子もいました」
これについては、地域差もさることながら、家庭環境も影響してそうだが、全般的に食べ物の地域差は結構ある。
大阪で生まれ、小学4年生に栃木に引っ越してきたサキさんは、東西の食の違いに驚いたそうだ。「桜餅といえば、道明寺がスタンダードだと思っていたけど、この辺の桜餅はクレープ状の生地に餡子を包んである形状ですよね。あれにはビックリしました」。すき焼きの違い、うどんのダシの違い…。東と西の食文化の違いはたくさんある。
【写真】上が道明寺、下は関東に多いタイプ
学校のルールにも地域差はある。群馬独自の習慣といえば、「起立・注目・礼・着席」。
2007年4月にナビサーチが行ったインターネットによる調査(有効回答数:64489件)によると、「授業開始のあいさつは?」の問いに対し、ほとんどの地域が「起立、礼、着席」と答えた。この回答が全体の8割を占めたそうだ。次いで多かったのが「起立、気をつけ、着席、礼」の13.1%。地域で見ると、岡山県、山口県、佐賀県、長崎県、熊本県の地域で比較的多かったという。西日本に多く分布しているのが特徴的だ。
そして、「起立、注目、礼、着席」が多かったのが、群馬県55.4%、宮城県30.2%。この表現は、ほぼこの2つの地域に限定されていたそうだ。
【写真】井田ヒロト「お前はまだグンマを知らない」(新潮社)より引用
回答者からのコメントによると「教室の机の並び方で、1の川、2の川、3の川と呼ぶのがあたりまえだったけど、最近それは群馬だけという話を聞きました」「テレビでも紹介されましたが、群馬県では運動会は『紅白』で分けるのではなく『赤城・榛名・妙義・(浅間)』でチーム分けするのが一般的です」。授業のあいさつの仕方以外にも”群馬ルール”は存在するようだ。
イントネーションや方言にも地域性は出る。
NHKの「日本語発音アクセント新辞典」(NHK出版)によれば群馬の県庁所在地「まえばし」の発音は「まえ」までが高いアクセントだ。しかし、地元の人は「まえばし」を平らに発音する。
「東武線の特急りょうもう号の停車駅案内アナウンスの「おおた、いせさき」の発音にはいつも違和感を感じますね」と話すのは太田市在住のタカシさん。「地名なんだから、地元のイントネーションが正しいと思うんですが…」
群馬の一部の地域ではか行変格活用(来る)の未然形が「こない」ではなく「きない」と使用される地域もある。桐生周辺に多く分布する事例だ。群馬はまた鼻濁音の「んが」が欠落した地域でもある。
方言に関する質問に答えるだけで、その人の出身地を当ててしまう「出身地鑑定!! 方言チャート」がSNS上で話題になった。東京女子大学・篠崎ゼミの女子学生がフィールドワークや研究を重ねて製作したものだ。グンマーの記者も試してみたが、ずばり「群馬出身」を見抜かれた。こちらもぜひ試してみてはいかが?
グローバル社会と言われるけれど、この狭い日本の中の「ローカル」の違いも面白い。他の県のことを知って、群馬の文化に気づく。まさに「群馬学」入門だ。