【夏の高校野球全国大会】夢舞台に懸ける樹徳ナイン
ノーシードから駆け上がり、30年ぶりの栄冠をつかんだ樹徳。どんなチームなのか、同じ目標に向かい切磋琢磨(せっさたくま)する仲間であり、時にライバルである選手同士で、紹介し合ってもらった。
■互いに頼れる「安心感」 主砲・主将今野と阿久津
お互いに自身の強みは「バッティング」だと話す3番・今野純之介と4番・阿久津佑太。群馬大会では、今野が3ラン本塁打1本を含む11打点を挙げ、チャンスに強い打撃を見せつけたが、阿久津はヒット0本という結果に終わり、「本来バッティングでチームを引っ張りたかったが、逆に迷惑を掛けてしまった」と悔しさをにじませる。
しかし今野は「阿久津は個性の強いチームをまとめてくれた“頼れるキャプテン”。県大会で当たりはなかったが、4番として自分の後ろにいてくれることで安心できる存在」と、主将への信頼を強調する。
また阿久津も「前後の今野と舘野(優真)が、自分が打てない中で活躍してくれた。2人が打ってくれるという〝安心感〟のもとで、結果は出なかったが、自信を持って打席に立つことができた。二人の存在の大きさを改めて感じた大会だった」と振り返る。
甲子園に向け、「チャンスが回ってきたらランナーをかえせるようなバッティングをして試合に勝ちたい」と語る今野。阿久津は「甲子園では泥臭いヒットを1本でも打ちたい。この悔しさを晴らして、必ず1勝をもぎ取りたい」と気合を入れている。
■保育園からの幼なじみ 切り込み隊長林と高木
樹徳の攻撃を引っ張る1番・林日陽と2番・高木翼は互いを「保育園の頃から知ってる」(高木選手)という幼なじみ。野球人生を共に歩んできた2人が、夢の舞台へ駆けあがる。
野球との出合いは菱・境野子ども会(当時)で、お互いの兄を追いかけるようにして入会。中学では異なる硬式チームに所属したが、気付けば同じ進路を向いていた。「ずっと近くで活躍を見てきた樹徳に入るのを決めた。高木と一緒に野球がしたかった」と林は振り返る。
1番打者の林は初戦はノーヒットに終わったが、2回戦から調子を上げ、適時打を含むヒットを量産。林について高木は「一度出塁したら持ち前の速さでかき回してくれる。性格も明るくて面白い。帰り道も同じ方向なので、試合のこととか何でも言い合える」と話す。
一方の高木について林は、「一つのことに対する集中力がすごい」と評する。抜群の集中力は県決勝・健大高崎戦の九回表、フェンス際の大飛球をつかみ取ったファインプレーにも生かされた。
林は「1番打者として攻撃の流れをつくり、良い試合にしたい」、高木は「チーム一丸となって“樹徳旋風”を巻き起こす」とそれぞれ力を込めた。