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【学校探訪記】「中央中等教育学校」の研究(1)カリキュラム編

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【学校探訪記】「中央中等教育学校」の研究(1)カリキュラム編

中学入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.06.23 
tags:群馬 中等教育学校, 中央中等教育学校, 中央中等 入試

中央中等教育学校の校舎は6階建てだ。2階~4階までは2学年ずつ割り当てられている。

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 開校14年。いまや前高・高高の伝統校と肩をならべる実績を出し続けている中央中等教育学校(高崎市)。清水照久校長は「大学受験はあくまで通過点であって、偏差値で大学を選ばせるような指導をしているわけではない」と穏やかな笑顔でこう切り出した。とはいいながらも、4年連続現役合格率は90%を超え、およそ半数が国公立大学に進学する。その強さの源を探るべく、同校を取材した。


■開校までの道のり
 中央中等教育学校を語る上で外せないのが「中等教育学校」という形態への理解だ。
 中高一貫校といった場合、大きく次の3つに大別できる。


 ① 連携型中高一貫校
 ② 併設型中高一貫校
 ③ 中等教育学校

 

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 ①はそれぞれ別の中学と高校が連携しながら運営される形態だ。神流町立中里中学・上野村立上野中学と万場高校の関係がそれにあたる。
 ②の併設型は「中学・高校」という名称が使われるケースが多い。併設型は中学と高校が独立しているため、中3から高1にあがる段階で途中編入が行われる。
 ③の中等教育学校は「中学でも高校でもない別の形態」(清水校長)で、6年制の学校だ。したがって、途中からの合流組は原則ない。
 中央中等教育学校の区分は③にあたる。この形態を採用する公立の中高一貫校は群馬県内には同校と伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校の2校のみだ。
 「国の教育改革の中で新たに設けられた学校形態なんです。したがって、設立にあたって法律も整備されました」(清水校長)。学校教育法上でも中学校・高校と一線を画し、中等教育学校という独立した区分になっている。

 

 では、中央中等教育学校はどのような経緯で誕生したのか、その歴史を簡単に振り返ってみたい。
 群馬県では子供の人口が減っていく中で学校の統廃合・再編を模索してきた。その過程で、群馬の中等教育の在り方や中等教育学校の設立が検討された。
 群馬県中高一貫教育研究会議が中高一貫教育の基本的な方針を公表したのが平成12年。2年後の平成14年9月に群馬県立の中等教育学校構想が県教委で承認され、翌1月に「中央中等教育学校」という校名が決定し、16年4月に開校した。群馬県で初、全国の中等教育学校でも5番目に早い開校となった。
 母体となったのは旧・県立中央高校だ。その縁もあって、校歌は詩人の草野心平が作詞した中央高校のものが継承された。

 

中央 校歌


■6年制という形態 
 同校の教育方針には「6年間を通した特色あるカリキュラムを編成し、教育内容の一層の充実を図る」ことが掲げられている。
 清水校長は「6年間という長いスパンの中で、まだ変声期を迎えていないような入学したてのあどけなさの残る子が、少しずつ大人になっていく。その成長過程にじっくり関われるよさがある」と同校の魅力を語る。
 その6年の期間、最初の3年間を前期課程、後半の3年間を後期課程と位置づけ、学習内容を深化させていくカリキュラムを編成している。高校入試がないからといって、いわゆる「先取り授業」は行わない。あくまで学習指導要領に沿って、カリキュラムは履修される。
 たとえば、高1の内容を中3秋からスタートさせるような先取り学習は制度上難しい。「中等教育学校は法律が整備されはしたが、それに合わせた指導要領はないんです」と清水校長は実情を話す。しかし、先取りこそしないが、授業の中で高校で習うような発展的な内容を紹介したり、後期課程につながるような指導の工夫はしているそうだ。

 

中央カリキュラム

【図】中央中等教育学校の6年間カリキュラム(ホームページより抜粋)


 6年という期間は教える側の教員にとってもメリットは少なくない。公立中高の職員なので、途中での異動はつきものだ。その意味で最初受け持った生徒を最後まで見続けられる保証はないが、それでも6年間持ち上がる先生はいる。
 中学で教える段階で、高校でのつながりを意識して指導できるのは非常に大きい。先生がそのまま高校段階(後期課程)に持ち上がれば、中学時代(前期課程)での指導との断層も生まれにくい。しっかりと連携のとれた指導が可能になる。
 子どもたちにとってはどうか。6年間という期間は彼らとっては短くない期間だ。高校受験という「壁」がないがゆえに、中だるみしたりしないのだろうか。ふと疑問を感じた。
 これに対して、清水校長は「それはないですね」ときっぱり否定した。

「入試がない分生まれた時間的なゆとりを、学問的な探求に充てることができますし、実際、本校の生徒はそういうことに非常に熱心に取り組んでいます」(同校長)
 入学当初、テストで点数を取るという狭い意味での「学力」でいえば、その力は多様だという。「狭い意味での学力(ペーパーテストで結果を出す力)でいえば、入学時点での差は確かにあります。しかし高校受験がないからと言って学力が定着していないわけではないですね」。それを裏付けるかのように、4年生(高1段階)での業者テストの結果を見るとしっかり力がついているそうだ。


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 6年制のメリットを存分にいかした授業を編成し、じっくり育てていく。その具体的な内容を次回以降紹介する。

(編集部=峯岸武司)

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