平日は11時間勉強に費やす パキスタン人・シャワルさん、受験勉強格闘中
17日、外国人への支援を行うボランティア団体Green Peace Kiryu(田中千恵子代表)の星博江さんとパキスタンから昨年7月に来日したシャワル・マリクさん(16)とアブドルアジーム・マリクさん(19)の兄妹の勉強会を訪ねた。
前回取材したのは昨年12月上旬。彼らと会うのは約1ヶ月ぶりになる。
その間、Green Peace Kiryuが橋渡しをして、二人は桐生市内の高校に通うインド人の双子兄妹とバトミントンを通じて交流を図ることもできた。
年が明け、今は受験に向けて追い込みをかけている。

■何度も繰り返して作文原稿を練習
桐生市内の公民館の談話室に入ると、シャワルさんがよどみない日本語で星さんに話しかけていた。「随分上達しましたね」と田中代表に聞くと、作文用につくった原稿読みをしているとのこと。繰り返し読んでいるので、その作文原稿に関しては上手に読めるのだそうだ。日本語での会話となると、まだかなり厳しい。
作文原稿はシャワルさんが英語で考えた内容を星さんとのやり取りで日本語に翻訳していき、500字の原稿に仕上げた。
「彼女は努力家なので」と星さんが言うように、12月下旬から練習を始めた作文の書写ノートはすでに3冊目に入った。慣れない漢字もしっかり写している。500字の書写は今は15分でこなせるようになった。
【写真】シャワルさんの作文練習ノート
■数学の文章題は日本語が壁に
シャワルさんの志望する桐生工業高校の試験日は2月20日、21日の2日間。外国人の受験生は英語・数学・作文・面接が試験科目だ。
「英語と面接は大丈夫だと思います。問題は数学と作文です」と指導する星さんは心配する。数学に関してはシャワルさんはパキスタンで数学の国際大会に出場するほどの得意科目なのだが、文章問題が日本語で書かれているので、こうした出題についてはお手上げだ。それでも、数式が読めれば解ける問題などはしっかりこなせている。
日本語で出題されているが、「図形の角度を求めるような図から何を聞いているか推測できるような問題はなんとか解ける」とシャワルは教えてくれた。でも、「数学は好きな科目なので難しい文章題も言葉が分かればチャレンジしてみたい」とシャワルさん。
英語は設問が読めなくても、英文の部分を追えば普通にこなせる。「過去問演習で9割くらいは取れますね」と星さんも太鼓判を押す。

入試を前に「不安はある」とシャワルは言うが、それでも前向きだ。時折、笑顔ものぞかせる余裕がある。本番まであと1ヶ月あまり。ラストスパートに向け、シャワルさんの格闘は続く。
(編集部)