【コラム】『素直』(神子澤修)
以前、授業中に生徒からこんな質問を受けました。
「神子澤先生は、いつも『素直』という言葉を口癖のように使っているが、『素直』というのはどんな状態なのか教えてほしい。」
確かに、私は普段から『素直』という言葉をよく使っています。「もっと素直になれよ。」「素直=幸せ」「素直は幸せの行きの切符」などなど。
いきなり「素直」ってどんな状態、と聞かれたので私は正直うろたえました。
すぐに答えることができなかったのです。
とっさに、「いい加減なことは言いたくないので、次の授業まで時間が欲しい」と生徒に言い、その場を取り繕いました。
質問をくれたのは調理科の生徒でしたので調理に関係する話の方が説得力が増すだろうと思い、次の授業でこのように話しました。(*桐生第一高校には、群馬県内で唯一、卒業と同時に調理師の国家資格が取得できるコースがあります。)
「ここに、コップがある。このコップには飲み物がいっぱい注がれている。この状態が『素直でない状態』だ。いっぱいに注がれているからこれ以上は入らない。周囲が、どんなに君のことを考えいろいろなアドバイスや時には忠告をしたとしても入らない。しかし、コップを一旦空にしてみよう。この状態が『素直』な状態だ。周囲からのアドバイスや忠告が入っていく。もちろん、そのアドバイスや忠告を飲み干すかどうかは君次第だが聞く耳を持つということは大切だ。それが素直ということだ。

その後、『素直』についての質問が来なくなりました。私としては、私の考えをそれこそ『素直』に聞き入れてくれたのだろうと思いました。
7月1日の生徒朝礼で、生徒の皆さんにこの話を紹介いたしました。何人かの生徒が『素直』に頷いて聞いてくれていたので安心しました。
桐生大学附属中学校 校長 神子澤 修
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