生徒減少は緩やかも地区外流出など課題 伊勢崎・佐波地区で「県立高校の在り方」に関する情報交換会 太田に続き2回目
地区内の公立高校の現状や課題を共有するため、群馬県教育委員会(平田郁美教育長)は21日、「県立高校の在り方に関する地区別情報交換会」を群馬県総合教育センター(伊勢崎市)で開催した。会合には、県議会議員や伊勢崎市長、玉村町長、教育長、PTA関係者など計42人(うちオンライン1人)が出席した。
進行は、先週太田市で行われた会合と同様の形式で、冒頭に平田教育長があいさつ。続いて髙橋章高校教育課長が、地区の県立高校の現状について資料を用いながら説明した。
■太田・館林地区に比べやや緩やかな生徒減少
生徒数の減少傾向を見ると、太田・館林地区(邑楽郡を含む)に比べ、伊勢崎・玉村地区はやや緩やかだ=グラフ左=。2040年時点の生徒数を2026年比でみると、太田市は40.5%減、館林・邑楽地区は48.8%減となる一方、伊勢崎市は30.3%減、玉村町は32.2%減にとどまっている=グラフ右=。

(いずれのグラフも県教委の資料をもとに編集部で作成)
■県内他地区への進学者が多い伊勢崎・佐波地区の現状
このまま2040年度に伊勢崎・玉村地区の県立高校6校体制(※)を維持した場合、1校あたりの平均は3.4学級と、太田・館林地区の2.6学級に比べて比較的落ち着いた状況にはある。ただ、県が「第2期高校改革推進計画」で掲げる1学年当たり「4~8学級」の適正規模には届かない見通しだ。
伊勢崎・玉村地区は県境に位置する地理的要因もあり、出席者の中から「県外の高校への進学流出が多い」との指摘もあった。しかし、県教委の資料を基に算出すると、県外への流出状況は太田・館林地区の方が深刻な状況だ(下表)。一方で、伊勢崎・玉村地区は県内他地域への流出が多く、特に前橋市や桐生市の高校へ通う生徒が多いことが浮き彫りになった。県教委の調査によると、2025年の中学卒業者では、伊勢崎市から前橋市の公立高校に174人、桐生市へは126人が流出し、いずれも「転出超過」となっている。
2025年中学校卒業者の地区外流出割合および私立進学の割合

※「県内他地区流出率」は公立高校のみ、「県外高校流出率」は国公私立高校。
※「県内他地区流出率」について。
・太田市、館林市・邑楽郡は「伊勢崎市、桐生市、みどり市、前橋市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
・伊勢崎市は「前橋市、太田市、桐生市、高崎市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
・玉村町は「前橋市、高崎市、藤岡市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
※各地区の2025年の中学校卒業者(学校基本調査など)をもとに算出。単位は(%)
会合の中で、臂泰雄伊勢崎市長は「伊勢崎・玉村地域の中学卒業生をすべて受け入れるだけの公立高校の定員がなく、市内に私立高校もない」と指摘。その上で「今後の高校の在り方を検討する際には、この点を十分考慮してほしい」と述べた。また、外国籍の児童・生徒が多い地域特性にも触れ、「外国の子どもたちが高等教育を受けやすい環境整備」を求めた。
出席者の中からは「高校教育改革が進む中で、先端技術を取り入れた新しいタイプの学科や学校をつくることになった場合、(そういった新しい領域を指導できる)教員の人材育成や研修体制の整備もしっかりやってほしい」という要望も出された。
県教委は今後、各地区で同様の情報交換会を開く予定で、終了後は準備が整った地区から、地域関係者と有識者が参加する「地区別検討会」を設け、地元高校の将来像についてゼロベースで議論を進める方針だ。
(編集部)
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