少子化に加え、他地区への流出が課題 藤岡・多野・富岡・甘楽地区の高校の在り方に関する情報交換会開催ー県教委
地区内の公立高校の現状や課題を共有するため、群馬県教育委員会(平田郁美教育長)は4日、「県立高校の在り方に関する地区別情報交換会」を高崎合同庁舎(高崎市)で開催した。今回の対象地域は藤岡・多野、富岡・甘楽地区で、会合には県議会議員や市町村長、教育長、PTA関係者など計34人(うちオンライン9人)が出席した。
進行は、これまで行われた会合と同様の形式で、冒頭に平田教育長があいさつ。続いて髙橋章高校教育課長が、地区の県立高校の現状について資料を用いながら説明した。
■両地区とも2040年に生徒数半減ー26年比で
生徒数の減少傾向を見ると、群馬県全体の減少率に比べ、藤岡・多野、富岡・甘楽の両地区の減少率は大きく、2040年には26年比でほぼ半減する見通しとなっている。

(いずれのグラフも県教委の資料をもとに編集部で作成)
■2040年時点の1校あたりの平均学級は1.5学級(県教委の試算)
藤岡・多野、富岡・甘楽両地区の県立高校7校(※)は2026年度入学予定者の1学年定員で見ても、1校あたりの平均学級数が3.0学級と県が適正規模とする「4~8学級」の水準を大きく下回っている。仮に県立高校7校体制を維持した場合、2040年度時点での平均は1.5学級となり、ほとんどの高校が2学級以下になる見込み。太田市や伊勢崎市の状況と比べても、より深刻な状況といえる。
■藤岡・多野地区は他地区への流出が課題
両地区は人口規模が小さい点では共通しているが、他地区や私立高校への進学動向を見ると異なる傾向がみられる。
藤岡・多野地区は約4割(2025年3月 中学校卒業者)が県内の私立高校に進学しており、他地域と比べても突出している=下表=。その結果、地元の公立高校に進学する割合は2割弱にとどまる。定員を60人減らしたにもかかわらず、25年度入試の倍率が0.7倍程度と前年と大きく変わらなかった背景には、こうした事情があるとみられる。
一方、富岡・甘楽地区は県内他地区の公立高校進学者は藤岡・多野地区と同程度だが、県内私立高校や県外高校への進学率は低い。結果として、約6割が地元の公立高校に進学する計算となる。倍率は1倍を超えなかったものの、「域外流出」が少ないため、定員減の効果が如実に表れている=下グラフ=。
2025年3月・中学校卒業者の地区外流出割合および私立進学の割合

※「県内他地区流出率」は公立高校のみ、「県外高校流出率」は国公私立高校。
※「県内他地区流出率」について。
・太田市、館林市・邑楽郡は「伊勢崎市、桐生市、みどり市、前橋市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
・伊勢崎市は「前橋市、太田市、桐生市、高崎市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
・玉村町は「前橋市、高崎市、藤岡市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
・藤岡市・多野郡は「高崎市、安中市、前橋市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
・富岡市・甘楽郡は「高崎市、安中市」への流出分でそれ以外の地区は含まない。
※各地区の2025年の中学校卒業者(学校基本調査など)をもとに算出。単位は(%)

(県教委の資料を基に編集部で作成)
藤岡・多野、富岡・甘楽地区の情報交換会は同じ内容で来週11日に2回目が開催される予定。
県教委は今後、各地区で同様の情報交換会を開く予定で、終了後は準備が整った地区から、地域関係者と有識者が参加する「地区別検討会」を設け、地元高校の将来像についてゼロベースで議論を進める方針だ。
(編集部)
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