【教育コラム】”褒める”の合言葉(NEXTAGE SCHOOL 髙澤 典義)
お子さんをうまく褒めることができない、なかなか子どもが言うことを素直に聞かなくなってきて困っているという方はいませんか?
早速本題に入っていきますが、最近いつお子さんを褒めましたか?
「えーっと…」と、いつだったか思い出せないようでしたら、ちょっとお子さんは悲しいかもしれません。日々、一緒にいると、つい悪いところばかりに目がいってしまい、褒めることをおろそかにしてしまいがちですよね。わかります。
しかし、残念ながらそれではお子さんの成長を最大限に後押ししているとは言えません。
そこで、ここではあらためて、『褒める』といった事について一緒に考えていきましょう。
■大切な3つのポイント”合言葉”
子どもに限らず、人を褒めたり、励ましたりする上で、大切なポイントが3つあります。
合言葉のように覚えちゃいましょう。それが、
〝『いつ』『何を』『どんな言葉で』〟です。
それでは、一つひとつ見ていきましょう。
まずは、『いつ』です。
人を褒めたり、励ましたりする時に、相手の心に言葉を響かせる上で欠かせないのは『いつ』にあたるタイミングです。同じ言葉を使っても、相手の状況次第では、その言葉がすごく相手に響いたり、そうでなかったりしますよね。相手が今、どんな状況にあって、それを踏まえてどんな言葉をかけるかが非常に重要になります。
例えば、お子さんがテストで100点を取って帰って来たとします。
お子さんとしては、褒めてほしくてテストを見せています。にもかかわらず、「ちょっと待って、今忙しいから」と言われてしまったら、お子さんはどんな気持ちになるでしょう?そして、手が空いた時に、「すごいじゃない、100点。よく頑張りました!!」と褒めたとしましょう。もう完全にこの状況では、お子さんは褒めてもらっても嬉しいと思える状況にはありません。こういった状況が続いたら、お子さんが勉強を頑張る意欲は次第に低下していくのではないでしょうか。
先ほどの状況で言ったら、お子さんがテストを見せた段階がまさに『いつ』のタイミングで、そのタイミングで手を止めて、思い切り褒めてあげるべきだったでしょう。そうすれば、お子さんはとても満足して「また次も勉強をがんばろう!」という気持ちになっていたでしょうね。『タイミング』が違うだけで、180度違う結果が生まれてしまうことがおわかりいただけたでしょうか?
それだけ『いつ』つまりタイミングというのは、褒める上で重要なのです。
続いてのポイントは、『何を』です。
適切なタイミングで、何について褒めるのか、これが2つ目のポイントです。
不思議なもので、人にはそれぞれ褒められると嬉しいポイントってありませんか? 逆に、褒めてもらっているのにあまり嬉しくないなんてこともありますよね。
では、一体、人はどんなことを褒めると嬉しく思うのか?
次の2点に集約できるのではないかと思います。
です。
これらについて褒められると、人は嬉しいと感じませんか?
そして、これらはなぜ褒めるに値するのか?
それは、その人が高く意識をしている分、他の人よりもそれについての努力の様子が見えたり、成果として現れていたりするからだと思います。努力の様子が見えている、成果として現れた、これらは誰もが褒めやすいタイミングと言えます。
しかし、それでは遅すぎます。結果ではなく過程で褒めてあげて、さらに成長を後押ししてあげたくないですか?
そのためには、
・その子が何を頑張りたいと思っているのか?
・どのように努力をしているのか?
そういったことを感じ取っていなければなりません。感じ取るためには、”よく見ていること”が大切です。よく見ていることで『何を』は必ず見えてきます。
そして、最後は、『どんな言葉で』です。
褒めるための手段は『言葉』です。
ですから、この『言葉』こそが大事なんだろうと考えがちですが、先ほどまでの『いつ』『何を』がちゃんと捉えられていれば、『どんな言葉』かはさほど重要でない気さえします。というよりは、『言葉』は自然とついてくるものだと思います。お子さんのこれまでをしっかり見てきて思った言葉、その言葉こそが、相手に喜んでもらえる言葉です。
だから最後の『どんな言葉で』は、『いつ』と『何を』の合わせ技により決まります。
そうじゃないですか?
「天才!!」と言われて嬉しい時もあれば、「馬鹿にしてるの?」と思うことさえあります。
言葉単体で、人の心を動かすことは難しいものがあります。
褒められた言葉そのものから嬉しさが来るのではなく、褒められた事象がやはり嬉しさには大事ではないでしょうか?
大事ですよね。
合言葉には入れていませんが、番外編として、『誰が』もかなり大事だというお話をさせてください。これも共感いただけるのではないでしょうか?
誰から褒められるか?
ちょっと意外な人からの褒めって妙に嬉しい傾向にありますよね。
例えば、いつも厳しくてあまり褒めてはくれない人に褒められると妙に嬉しくないですか? 自分のことをあまり知らない人に褒められるのもタイミングによっては嬉しかったりもします。
そして、やや計画的な感じがしますが、第三者伝いの褒め、これは本当に効果的面です。「お母さんが○○君のことをあの時すごく褒めてたよ」といった感じです。
認めてもらいたい相手から褒められると、嬉しいものですよね。
■今回のまとめ
さて、今回は、子どもがやる気になる褒め方の合言葉「いつ、何を、どんな言葉で」』というテーマでお話させていただきました。褒める力が強い人は、叱って人を導く人よりも大きなエネルギーでもって子どもたちを引っ張っれているような気がします。どちらがプラスのエネルギーかと言われれば、それは褒めて人を伸ばすことでしょう。
褒めることで子どもたちの心に火をつけることができます。そして、そうしてつけられた火はなかなか消えないほど屈強なものであることさえあります。
あれこれ話をしましたが、まとめると、やはり”相手のことをよく見ている”ことこそが、効果的な褒めの鍵となるのではないでしょうか?
たくさんの愛をもって子どもたちを見守っていきたいですね。
一緒に実践していきましょう!!
主宰 髙澤 典義
大学卒業後、18年にわたり公立小、中、特別支援学校において勤務。2015年から3年間在外教育施設(ソウル日本人学校)における勤務を経験。2021年教師を辞め、桐生市にNEXTAGE SCHOOLを開校。