【コラム】『腹八分目』(神子澤修)
「実りの秋」「味覚の秋」「食欲の秋」に逆行するようなお話をさせていただきます。
私の母は、6年半前に糖尿病が原因で亡くなりました。たった一人の弟は、3年半前に糖尿病からくる脳梗塞で亡くなりました。二人とも、インスリンを自分で打っていました。
母が生前、私がときより富山の実家に電話をした際のことです。受話器を置く前、必ず私にこう言いました。「修、あと一口食べたいなぁ、と思うところでやめておけよ」と。
私は、この最後の一言を聞くたびに、「あと一口が、一番美味しいんだ」と心の中で呟いていました。
ただ、今になってみるとその一言に、母の息子の体を案ずる深い愛情があったことがわかります。愛する息子に食べるな、ということはつらかったと思います。でも、自身が苦しんでいた分、息子にはそうなってほしくない思いが強かったのでしょう。
【画像】写真ACより
よく『腹八分目』で医者いらずと言います。また、人によっては『腹六分目』で老いを忘れる、さらに『腹四分目』で神に近づく、というそうです。『腹四分目』は極端な話としても、せめて『腹九分目』くらいにはしておきたいものです。
結びに、私に管理栄養士の資格を取ろうと決意させたフレーズを紹介いたします。
「以前は、病は気から、現代は、病は食からの時代である。」
ご家庭でも食について、話題にしてみるというのはいかがでしょうか?
桐生大学附属中学校 校長 神子澤 修
プロフィール
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