若者や女性の市外流出防ぐには… 桐生市関係課長が市長提言
人口が10万人を下回った桐生市が若者や女性の市外流出を防ぐため、庁内の関係課長でつくる「女性・若者から選ばれる桐生市検討委員会」は26日、教育移住に関心のある子育て世代と学生世代を対象に、重点施策を盛り込んだ提言書を荒木恵司市長に提出した。都市部の子育て世代が短期間滞在して子どもを保育園に通わせる〝保育園への留学〟などを入口に、群馬大学をはじめ市内の恵まれた教育環境を生かしたデジタル人材育成と市内定着の流れを作る必要性を訴えた。
検討委は、同市の2022年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が0・95と初めて1を下回り、今年5月1日の推計人口が10万人を割り込むなど、歯止めのかからない人口減を克服するため、庁内の関係課長10人で6月に発足した。
市職員や群大生対象のアンケート結果や学生らとの意見交換会、各種データ分析などを基に3回の会合を重ね、①結婚②妊娠・出産・子育て③教育④仕事⑤暮らし─など6分野で、特に女性や若者から選ばれる街になるために必要な取り組みを検討した。
提言書では重点的取り組みとして、学生年代と教育移住に関心のある子育て世代をメインターゲットに設定した。
学生については「年間400人の群大生理工学部生らが市内就職・定住に結びつかずに市外流出している」と指摘。▽デジタル人材・理系人材を育成し、市民が群大理工学部や・大学院の修学を目指す流れをつくる▽学生が就職活動を始めるまでに地域内企業や地域との関わりをつくる─ことなどを掲げた。
また繊維産業に関心のある若手人材に選ばれる取り組みとして、学生向けの見学体験ツアーや繊維事業所とのマッチング支援などを提案。▽繊維産地の強みを生かして若手人材を呼び込み、市内に定着する流れをつくる▽繊維産業に関わりたい若手人材の夢をかなえる体制をつくる─ことなどを掲げた。
一方、教育移住に関心のある子育て世代に選ばれる取り組みとして、都市部の子育て世代が短期間滞在し、子どもを保育園に通わせる〝保育園への留学〟などを例に挙げた。
その上で▽豊かな自然に囲まれた子育て環境▽群大生による学習支援▽小中高生対象のデジタル人材育成拠点「ツクルンキリュウ」開設─など今ある強みを生かし、保育園から大学進学までをパッケージにした教育環境をPRすることで移住を促進するとした。
さらに「学生世代と教育移住に関心のある子育て世代に選ばれるためには、現在検討を進める学校の適正配置と図書館の建て替え問題は重要な課題である一方で、〝子どもたちの未来に向けた教育環境の改革〟を起こす大きなチャンス」とした。
26日朝に市長応接室で同検討委の橋本頼孝委員長から提言書を受け取った荒木市長は「さまざまな立場の職員が部局横断的に危機感を持ってまとめた提言には意義がある。内容を精査する中で、すぐにできること、来年度予算に入れたいこと、中長期的に取り組むことを分けながら検討したい」と述べた。