【コラム】『担任との想いで』(神子澤修)
高3の夏休み前のあるホームルームでの出来事です。
担任のM先生がこう話されました。
「私は実は教師にはなりたくなかった。両親が教員だったこともあって、その両親からの強い勧めで教師になった。本当は、エンジニア志望だった。今でも後悔している」
恐らく、M先生は後悔のない進路選択をしてほしいとの願いを込めてのカミングアウトだったのでしよう。
でも、進路選択に悩んでいた当時の私にとってはとても残念な発言でした。嘘でもいいから、「教師になりたての時はいろいろ考えたことはあったが、今は教師になって本当に良かったと思っている」と言ってほしかった。
また、このようなエピソードもありました。
秋口の「三者面談」の際です。
夜勤明けで疲れ切った中、わざわざ父親が学校に来てくれました。
担任のM先生:「神子澤君は、勉強には向いていないタイプだと思います」と父に向かって話されました。それを聞いた時の大変寂しそうな父の横顔が今でも忘れられません。
せめてこう話してほしかったです。
「神子澤君は、今は学習に身が入っていないようですが将来はわかりませんよ。頑張らせましょう」と。
もちろん真剣に勉強に向き合わないで「数Ⅲテスト8点」の世界に居た私が一番悪いのですが…。
高3の時、「勉強に向かないタイプ」と言われた私が今年教師生活40年目を迎えている、そして、「教師になったことを後悔している」と話されていたM 先生が最後は母校の校長先生をされたとのこと、人生ってわからないものですね。

桐生大学附属中学校 校長 神子澤 修
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