挑戦と失敗こそ力に ドラマ「御上先生」の教育監修・中山芳一氏講演会 桐生商業高
桐生市立商業高校(星野亨校長)は9月29日、美喜仁桐生文化会館で「S.P.A.R.K. for our well-being!」講演会を初開催した。生徒や教職員らが参加し、非認知能力の重要性について学んだ。
■初の「S.P.A.R.K. for our well-being!」講演会
生徒一人ひとりが自ら考え、行動し、社会に能動的に関わる力を育むため、今年4月に同校独自の教育ビジョン「S.P.A.R.K. for our well-being!」が発表された。今回の講演会はその実現を目指すため企画された。全日制・定時制を合わせた704人の生徒のほか、教職員、保護者や外部の教育関係者も参加した。
講師を務めたのは、非認知能力育成に関する研修・講演活動を行い、TBSドラマ「御上先生」の教育監修も担当したIPU環太平洋大学特命教授の中山芳一氏。大ホールでの講演でありながら、生徒を3人1組のペアにし、数多くの問いを投げかけて考えさせるスタイルで、中山氏も自らステージを降り、客席の生徒と積極的に対話を重ねた。
■変化の激しい時代だからこそチャンス AIをパートナーに
中山氏は、非認知能力を「心に関係する力」と位置づけ、「自分を高める力」「自分と向き合う力」「他者とつながる力」の3つを挙げた。国語や数学のように数値化できるものではなく、「一番大事なのは、自分がどの力を発揮しやすいのかを知っておくことだ」と強調した。

【写真】非認知能力について語る中山芳一氏(シルクホールで)
この25年で情報通信技術が目覚ましい進歩を遂げ、先が読めない「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれている。そんな中、AIに仕事を奪われるのではないかと悲観視する声もあるが、中山氏は「(むしろ)AIをパートナーにしていくべき」とこの時代の変化をチャンスと捉えてほしいと生徒に訴えた。
AIと人間の違いは感情の有無にあり、「共感したり意欲を持って夢や目標に向かえるのは人間だからこそ」と語った。AIと協働することで、より豊かな社会を築けるとし、そのためにも非認知能力の重要性は増していると説いた。
■失敗は悪いことではない
非認知能力は先天的なものではなく、「意識して行動し、それを習慣化することで鍛えられる」と中山氏は説明。そのために「自分の価値基準を持ち、自ら考えて決めること」が欠かせないとした。行動を起こした結果、失敗してしまったとしても、「(自分で決めてやったことの)失敗は、むしろ良いこと」と生徒たちの背中を押した。
また、経験を客観的に見つめ直す「フィードバック」と、これからの自分をより良くしていく「フィードフォワード」を含めた「振り返り」の重要性も説いた。
さらに、自主性と主体性の違いについても言及。「与えられた枠を超えて、自分なりにやり遂げることが主体性だ」と説明した。
■社会の課題を解決することが仕事
終盤には働くことの意味に触れ、「社会の課題を解決することが仕事であり、他者を想定していなければ仕事とはいえない」と指摘。「社会や他者のために自分がどう役立つのかを、そろそろ視野に入れてほしい」と高校生に呼びかけた。
ウェルビーイング(幸福)の実現とは、社会全体を幸せにすることであり、そのために「個々の主体性やエージェンシー(自己決定して行動する力)が深く関わっていることを頭の片隅に入れておいてほしい」とまとめた。
講演を聞いた生徒会長の同校3年生の砂田快仁さんは「自主性と主体性の違いについての話が印象に残った。S.P.A.R.K.の取り組みが始まって生徒も自分の意見が言えるような雰囲気になってきている」と感想を述べた。

【写真】講演後、生徒たちと集合写真に応じる中山氏
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、将来の予測が極めて困難な時代状況を表しています。
グローバル化、テクノロジーの進化、気候変動やパンデミック、戦争や経済不安などが複雑に絡み合い、誰もが「正解のない問い」に向き合うことを求められています。
(編集部)
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