【健大薬学生新聞_Vol2】「世界的すきま発想」で命を救う! がん治療の最前線・高崎工場を行く
私たちが訪れた日本化薬株式会社は、1916年に日本初の産業用火薬メーカーとして誕生した歴史ある企業です。現在は火薬の技術を応用したエアバッグなどのモビリティ分野に加え、半導体関連、そして命を守る医薬品事業の三本柱で展開しています。同社の最大の特徴は、大手が手がけないニッチ(すきま)な分野で世界一を目指す「世界的すきま発想」という独自の戦略です。
その医薬品生産の心臓部が、群馬県にある高崎工場です。ここでは抗がん剤43品目、バイオシミラー(バイオ後続品)5品目を製造しており、その品目数は国内シェアNo.1を誇ります。特に、古くから世界で使われている「ブレオマイシン」という薬は、世界で最も基準が厳しいとされるアメリカのGMP(製造管理基準)調査を23回もクリアしており、その品質の高さは世界中から信頼されています。

日本化薬のオリジナルキャラクター「かやくーま」記者のおすすめポイントは丸いカプセルのような体
この巨大な工場の「安全」と「品質」の鍵を握っているのが、薬剤師です。高崎工場の全従業員約300名のうち、薬剤師免許を持つ人はわずか11名。非常に少数ですが、彼らの役割は極めて重要です。法律(薬機法)により、医薬品を製造する工場には必ず「製造管理者」として薬剤師を置くことが定められています。彼らは薬が正しい手順で作られているか、成分に間違いはないか、最終的な出荷の判断を下す「最後の砦」なのです。
工場内では、単に薬を混ぜるだけでなく、異物混入を防ぐための徹底した入室管理、顕微鏡を使った微細なチェック、さらには薬を運ぶ際に割れないためのパッケージの工夫まで、普段の学校生活では知ることの出来なかった試験と管理が繰り返されていました。薬剤師は、薬学の専門知識を駆使して、これらの工程が科学的に正しいかどうかを常に検証しています。
日本化薬は現在、高分子技術を用いた新薬の開発や、原薬やバイオシミラーの国産化にも積極的に取り組んでいます。突出した技術で「世界になくてはならない企業」を目指す姿。そこでは、病院や薬局とは一味違う、日本のものづくりを支える薬剤師たちの活躍の場がありました。

【写真】工場見学後の記念写真=2025年12月24日
若手社員にQ&A
品質と向き合う薬剤師さんにお話をお聞きしました
ーー品質管理・製造管理で一番大切なことは?
どんな手順で作れば、毎回同じ品質の薬ができるかを考えることです。最終段階では全ロットを分析し、不備があった場合にすぐ原因を特定できるようにしています。
ーー薬の形(剤形)で試験は変わりますか?
変わります。注射剤や錠剤など、剤形によって必要な試験項目やタイミングが異なります。
ーー大学での学びは役立っていますか?
卒業研究のテーマより、分析機器を使った経験が役立っています。実習で見た他社の包装や表示の知識も仕事に活きました。
ーーやりがいと大変なことは?
自分が関わった薬が世に出て、多くの人に使われることがやりがいです。一方、入社後も勉強する範囲がとても広く、それは大変ですね。
ーー薬学部を志望する中高生に一言お願いします
製薬会社の仕事は研究だけでなく、品質管理や製造などいろいろな役割があります。薬学部に進むと進路の幅がとても広がるので、是非薬学部で色々な経験をしてみてください。
記者:薬学イベントサークル代表 薬学部 4年 神沢 陸斗
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