【特集】学校説明会の歩き方(2)
私立高校が今年度の学校説明会・オープンキャンパスの日程を相次いで発表している。公立高校も夏前後から学校説明会が行われる。実際に志望校に足を運んでその学校の雰囲気などに触れることができる点で、学校説明会の意味は大きい。
みんなの学校新聞では、この学校説明会を有意義な時間にしてもらうため、「学校説明会の歩き方」を特集する。2回目の今回は「志望校をいかに選ぶか」というポイントについて複数の学習塾関係者に聞いた。
(編集部=峯岸武司)
学校説明会に行く前段階として、志望校をある程度選定する必要がある。どこに行きたいか分からない状態で学校説明会に参加しても得られるものが少なくなってしまうからだ。
ナカジマ学習塾(みどり市笠懸町)の中島純子塾長も「数多く参加して、その中から選ぶのはお勧めできません。行く前に絞れない生徒は、たくさん行ったらもっと絞れなくなります」と話す。
では、どのように志望校を選んでいけばよいのか。次の4点を参考にしてみてほしい。
❶大学に進学する意思があるかどうか (実業系か普通科か) ❷市内の学校にするか、市外の学校にするか ❸自分のレベルより少し上を狙うか、自分のレベルとあっている学校を選ぶか ❹公立か私立か |
■大学に進学する意思があるかどうか
これに関しては、将来の自分の人生設計とも関わりを持つ部分である。将来何がやりたいか、具体的に決まっていない生徒の方が多いと思うが、高校卒業後、大学に行ってみたいかどうかくらいは決めておくべきだ。
高校は中学と違い、カリキュラムの専門性が高くなる。したがって、実業系と普通系では学ぶ内容が大幅に変わってくる。さらに進学校であれば、大学受験を見据えた授業内容・進度になっている。 学ぶ環境という点では、学校によって大分色合いが違う。
志望校を検討する際、まずは大学に進学する意思があるかどうかをじっくり考えてみてほしい。
■市内の学校にするか 市外の学校にするか
市内か市外かという選択には通学距離が大きくかかわってくる。通学距離が長くなるということは、時間的なロスや経済的なコストもかかる。
太田市内のある大手塾の講師は「太田は市内の中学校の上位層(男子)はほぼ太田高校に行きます。ごくまれに『前高に行きたい』という子もいますが、そういう子には面談で、前高で上位をキープできるかどうか意思確認します」と話す。
太田高校と前橋高校ではカリキュラム的な差異はあまりない。では、太田市内から前高に行くのと太高に行くことの大きな違いはと言えば、通学時間。太田市内から前橋高校に通うとすると、伊勢崎駅で東武線からJR線に乗り換える必要が出てくる。JR前橋駅からも前橋高校までは歩いていける距離ではない。通学するだけで結構な時間がかかる。
「結局、通学に余分な時間がかかることで、部活動も制限されてしまうでしょうし、勉強時間も制約を受けます。近くの太田高校だったら、その分の時間が捻出でき、ゆとりをもって学業や部活に専念できます」(先の講師)
3年間の生活パターンにかかわってくることだからこそ、通学時間は無視できない。
中島塾長は学校見学に行く際に、通学のルートも合わせて確認してほしいと強調する。
「その高校に通うとしたら、どの交通機関で通うのか、実際にその行き方で行く。自転車にしても、電車にしても、友達と一緒に行くのはお勧めできません。話に気を取られて、実際に3年間通うイメージを掴みにくいからです」
■自分のレベルより少し上を狙うか、自分のレベルとあっている学校を選ぶか
今の自分の力で上位に入れる学校に入るのが向いている生徒もいれば、ギリギリでもワンランク上の学校に入れたほうがモチベーションを維持できる子もいる。この辺の見極めは子供の性格を見たうえで、親がアドバイスできる部分ではないか。
ランクを上げずに上位で入学したからといって、高校入学後にそのポジションが保証されるわけではない。上位で入学したものの、次第に成績が下がり、気づいたら中下位になってしまったというケースもある。
高校は入学試験を通過しているため、学力的な幅が少ない。したがって、順位の変動が起こりやすい。
反対に、無理にランクを上げずに身の丈に合った進学先を選んだことで、上位をキープでき、そのことが本人の自信につながり、充実した高校生活を過ごせたという例もある。
いずれにしても、今の段階で志望校を選定する際、絞り込むといっても、1つだけに絞り込むのではなく、多少志望校に幅を持たせたほうがよい。
「現時点である学校に上位で入学できる力があるとすれば、1ランク上の学校も志望校として視野に入れておいていい」とアドバイスするのはルーモ学習塾(前橋市)の糸井恵子塾長。 絞り込みすぎたことで、直前期に志望校を変更する際、判断材料が乏しくて困っていた例も見てきたという。
■ 公立進学か 私立進学か
群馬の場合、公立高校を第一希望としている受験生が多い。この辺りの理由からか、私立高校の見学は参加しないという人もいる。しかし、糸井塾長は参加することの意義を強調した上で、こう話す。「私立高校は公立よりも学校によって特色が 大きく違います。自分が通うかもしれない学校ですので、公立同様に通学の方法なども考えて行きたい学校を選んで見学しておくべきです。パンフレットからは見えてこない学校の空気を肌で感じることができます」。
実際、公立高校が第一希望だった生徒が、私立高校の見学をきっかけに私立志望に方向転換した事例も過去あったそうだ。
太田市内の大手塾講師(前出)は「私立高校の特進コースは少人数で面倒見のよい指導をしている学校も少なくありません。大学進学を考えた場合、きめ細かい受験指導では期待できる点で、必ずしも公立に固執する必要はないと思います」と話す。
いよいよ始まる学校見学。大切なのはしっかり目的意識を持って参加することだ。「説明会でわからないことがあったら後で質問するのではなく、質問することを5つ見つける気持ちで参加する。この意識があるかないかで、有意義な高校生活に繋げるられるか、そうでないかが分かれます」(中島塾長)
《 編集部から 》
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