群馬県公立高校入試分析【理科編】
■理科(後期入試)についての分析
全国的な傾向としては記述問題の出題数が増加し、内容も正確な知識を問うものになり、レベルが上がっている印象だ。「新出単元優先で出題」から「しばらく出題していない単元から出題」に変わってきているため、経年変化に注視する必要がある。
群馬県の問題に関していうと、2010年入試以来、下がり続けてきた平均点も2014年入試の49点を底にここ数年は50点台前半を推移し、多少易化してきてはいる。
伊勢崎市内のある塾長は「教科書改訂が一巡し、新出単元がどのような切り口で出されるかの傾向分析と対策が教材会社・塾で進んだためではないか」と話す。事実、改訂当初、ストックが少なかった新出分野の問題もここ数年で随分増えた。
昨年度の群馬県の公立入試でいうと、理科は53問の出題数でそのうち用語に関する問題が15問出題された。「この用語の出題の割合は全国トップクラスだ」とは向井氏。だからこそ「まずはしっかり用語で取れるように対策をしたい」(同氏)。
●理科 頻出用語一覧
(資料)「エデュケーショナルネットワーク ジャーナル VOL39」より引用
●理科 群馬県入試の出題分野の経年分析
(資料)「エデュケーショナルネットワーク ジャーナル VOL39」より作成
理科が直前期の底上げに重要な教科なのは、その出題のバリエーションがある程度限られてくるからだ。「図表もだいたい頻出のものは決まっているし、雑な言い方をすれば、『石灰水』と出てくれば『白く濁る』を書かせる問題じゃないかなという予測がつけやすい」(同氏)。その意味で、頻出問題を反復してやらせるのが、効果的といえる。
基本的な計算問題も一通りできるようにしておく必要がある。「過去問で1回出された問題は2回目の出題になるとレベルが上がる傾向がある」。たとえば、質量パーセント濃度の問題が直近に出されていて、改めて出題されるとなった場合、2回目の出題のほうが問題の難度が高くなる。
直前期の学習の指針としては、どこかの分野に絞るとか、捨てるという発想ではなく、とにかく面を塗りつぶす感じで学習するのが理想だ。「群馬の場合、4分野からバランスよく出題されていて、しかも基本問題が多いので対策は立てやすい」と向井氏もアドバイスする。
(編集部=峯岸 武司)