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群馬県公立高校入試分析【国語・数学・英語編】

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群馬県公立高校入試分析【国語・数学・英語編】

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.01.31 
tags:傾向と対策, 入試, 公立高校, 教育委員会, 群馬県公立入試, 群馬県公立高校, 高校入試

国語・数学・英語の出題傾向は?

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■国語(後期入試)についての分析
 国語については、全国的には「人工知能」「環境問題」など旬なテーマを素材にした評論の出題が増加した。一方、流行りだった漢文には一服した感がある。ただ群馬県では、評論・小説・古文・漢文・表現(知識)という構成が長らく続いており、この流れは変わらないだろう。一方で、伊勢崎市内で国語を指導する塾講師Fさんの話では「何年か前、突如、和歌が出題された年があり、こういう『突然変異』はゼロとは言えない。去年の『君の名は』のブームで和歌が脚光を浴びている。単体で和歌が出される可能性は少ないかもしれないが、平安朝の和歌については古典とのからみで注視する必要はある」と指摘する。
 群馬はもともと記述が多いのが特徴だが、ここに振り回されると取れる問題を落としてしまう可能性もある。必ずしも一番から丁寧に解いていくのではなく、古文・漢文などの比較的時間を要しない問題から手を付けるなど「解く順序の戦略が大切」(向井氏)。記述については、学校によって採点の幅があり、特に中堅校以下の受験生に厳しい指導を求めると、「(本番で)白紙にしてしまう可能性があるので、指導する側は志望校によって採点基準に差をつけるなどの工夫をする」(同氏)ことも求められる。
 漢字の書き取りは小学校で習う漢字からの出題で、その意味では落とせない分野である。直前期の対策としては手を抜けないところだ。
 最近はやりの表現系の問題は九州地方の公立の問題が先進的だ。「この辺りの入試問題に目を通しておくのも悪くない」とは向井氏。
 
 
■数学(後期入試)についての分析

 全国的な傾向で言うと「全体的にはやや易化しています」(向井氏)。いままで難度の高い入試を行っていた県では、基本問題が増加している。群馬も同様で、2012年まで40点台で推移していた平均点はこの年以降、ほぼ50点台を推移している。5教科の中で圧倒的に難度の高かった数学のポジションはここ数年はあてはまらず、むしろ英語が群馬県入試で最も難しい科目に変わってきている。
 攻略としてはどの学校を受けるとしても、大問1、2番でいかに落とさないかだ。「ここだけで60点近くの配点があります」とは向井氏。ただ、大問1、2番が基本問題とはいえ癖のある問題も含まれているのも事実だ。たとえば昨年の大問1の5番では「おつりがもらえた」という表現に戸惑う受験生も多かったのではないか。群馬は正答率を公表していないので推測の域を出ないと前置きしつつ、向井氏は「不等式を使ったお釣りの問題は、全国的に正答率が低く、茨城県で出題された類題も正答率は38.4%と低いことから、群馬の受験生の正答率も高くなかったはずです」と分析する。
 相対度数を用いた問題も苦手にする受験生は少なくない。全国の正答率は50%程度。これに四捨五入という要素が加わるとぐっと正答率は下がる。出題者はこうした出題上のテクニックを駆使して、受験生を惑わせる。
 ここ数年、「自然数・素数・絶対値・以下・未満などの用語の定義の確かさを確認する出題が増えている。この辺りの最終確認も怠れない」(向井氏)。長野県の「10より小さい素数は何個あるか」という中1レベルの超基本問題も「正答率は42.7%で低め」。原因は「1を入れて不正解になってしまう生徒が多かったということです。知識があいまいだと取れない問題の好例です」。
 
 鹿児島県で出題された整数を上げる問題も「0が入ることを忘れて、こちらも正答率41.8%です」。指導者の側ではできていて当たり前だろうという問題が受験生には意外と取れない問題になる。「ついでに言っておくと、素数については確率とからめて出題されるパターンもあります」とは向井氏。
 数学が苦手の層には正答率65%以上の問題を重点的に当たらせて、取りこぼしのないように指導したい。「背伸びしても60%以上の問題にとどめておくべき。難度の高い問題をこの時期時間を割いてやらせるのは、時間対効果が薄い」(向井氏)
 正答率30%が数学が普通の子と得意な子(上位校受験者)の分岐点。上位校受験者には正答率30%以下の難問もしっかり解かせたい。
 志望校のレベルに合わせて、こなす問題を取捨選択していくことが大切だと言える。
 
 
■英語(後期入試)についての分析
 
 英語に関しては群馬の入試が全国のトレンドに近づいた印象だ。長文内容も海外のホームステイや外国人との交流を通じて主人公がどう感じたかなどの伝統的なテーマが多かったが、科学技術系などのはやりの素材を扱うようになった。
 
「科学技術・自然環境・国際交流は長文問題のトレンドです。専門用語が文中に入り込み、注釈の単語のレベルも高くなる特徴があります」(向井氏)。一方で、英語はM字型の得点分布をとる科目で上下の学力差が大きい。問題が難化する中で、「下位層は手も足も出ない状況になりつつあった」(同氏)。そんなことが影響してか、ここ数年の難化傾向の中で、英語の苦手な層を救済する出題も増えてきている。「曜日や数字などの単語が書ければできてしまうような空所補充の問題を入れてくる県もあります」(同氏)
 群馬県入試で言えば、「2014ショック」が平均点の底(41.2点)で以降ここ2年は、45点、48.6点と回復基調にある。
 
 「ここ数年、少しずつ出題をいじり、チューニングしていた感じ。難度の落としどころとしては昨年のレベルではないか」とは伊勢崎市内のある塾長。「去年と同等のレベルで攻めてくるのでは」(同塾長)と予測する。40語程度の英文を使って自分の意見や状況説明をできる英語力は国が目指す英語教育に合致するものだし、今年も間違いなく出題されるだろう。ここの対策は上位校受験者は外せない。受験者は学校の先生や塾の先生に添削指導を受けるのも一手だ。
 向井氏は「リスニングの対策も怠らないで」と話す。「数値的な裏付けはないが全国的にリスニングのスピードが速くなっているという声は増えていて、データを公表している東京都では1.4倍のスピードで出題しています。単純に速くなったというより、間が短くなったり、リエゾンを使ったりとより実用的な英語にシフトしているということでしょう」。
 
次回:理社編です。
(編集部=峯岸 武司)

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