新校舎移転もうすぐ! 統合後の足利高校の「いま」(後編)
足利高校と足利女子高校が統合されて発足した新・足利高校。開校して3年目の今秋、いよいよ新校舎が完成する。統合後の足利高校の「いま」の後編は足高と現役の中学生の目線から語ってもらった。
■統合によって失われたもの
統合したことにより得たものもあるが、失われたものもある。その一つといえるのが、1985年から始まった足高・太高の「対抗戦」だ。「高高と前高のような定期戦をやりたい」と当時の太田高校の校長の提案で1985年に第1回が開催された。
以後、会場を互いに移しながら、全生徒同士がさまざまな競技を競い合う「本戦」は3年に1回(2010年からは2年に1回)、11の部活動同士が競い合う「部戦」は毎年行われてきた。
「本戦」は一般戦と部戦で構成され、一般戦の種目はソフトボール、サッカー、バスケットボール、バレー、オセロ、将棋、クイズ、ドッジボール、卓球、ソフトテニス、リレー、綱引き、長縄。全体の勝敗は独自に決めた対抗戦ポイントで計算され、それにより勝敗が決定された。足高が足女と統合され共学化するため、足高からの申し入れで大会自体が終わりになることが決まった。
2018年の対抗戦に参加した足高OBは「当時の橋本校長の気合いがすごくって。6勝7敗だったんです。何としてでも1勝あげて五分に持ち込もうっていう校長の気迫を感じました」と振り返る。授業時間を各コマ5分減らして、捻出した45分を対抗戦の練習にあてたそうだ。「母校がなくなる前に7勝7敗に持って行きたいという校長の思いを感じましたね」。結果、足高はこの年、1勝を上げ、7勝7敗に。
本来の「最終決戦」は2020年7月に太田高校で行われる予定だった。ところが、コロナ禍で中止を余儀なくされ、事実上、2018年で幕を閉じる形になった。引き分けでの幕引きは、両校の「禍根」を残さない美しい終わりだったのかもしれない。
現在、太高は対抗戦の代替として「煌斌祭(こうひんさい)」という学年の枠を取り払ってスポーツやゲーム・クイズなどで勝負するイベントを開催している。学年を縦割りに「1組団」、「2組団」・・・というクラス対抗の行事だ。
一方の足高もスポーツや勉強を競い合う「ブロック対抗戦」という行事を行っている。こちらも学年の枠を外し、1・2組が「赤チーム」、3・4組が「青チーム」…といった具合に競うイベントだそうだ。
■中学生の目から見た新・足高のイメージ
共学化した足利高校は中学生の目にはどう映っているのだろうか。
足利市内の中学校に通うAくんは「共学になったり、校舎が新しくなったりして、群馬県からも生徒が集まるような学校になったと聞きました。だから、レベルの高い高校かなというイメージです」と話してくれた。
実際にマイチャレンジという体験授業で足高に行ったことがあるというBくんは「校舎が新しいと高校生活の中でいろいろなことができるなと思います。体育館もきれいで広かった」と話す。現在、中学でバレー部に所属するBくんは足高の体育館でバレーをやってみたいと感じたそうだ。
「栃高と足高には差があったけど、新校舎ができたり、共学になったりして、レベルが上がったと思います」。こう語るのはCくん。周りには足高か栃高かで悩んでいる子もいると言うが、「足高がいいという子も出てくるんじゃないかと思います」。
まだ受験は先の話だが、三人ともに共通しているのは新しい足高への期待感だ。
(編集部)