【特別寄稿】「スマートフォンの使用が子どもの学力に与える影響」②ー東北大・榊助教に聞く
子どもたちの学習に欠かせないスマホやタブレット。一方で、その使いすぎが学力に与える影響も見逃せません。東北大学 応用認知神経科学センター助教の榊浩平先生にアドバイスを伺いました。(3回に分けて掲載します)
※本記事はタブロイド判「みんなの学校新聞(25年7月号)」に掲載した記事を転載しています。
勉強時間と睡眠時間の影響
スマホの影響を調べるうえで、勉強や睡眠の時間が削られてしまうという間接的な影響も考慮する必要があります。図2のグラフは、2018年度の小学5年生〜中学3年生36,603人を対象に、1日あたりのスマホ使用時間別に「1時間以上」「1時間未満」の2群へ分割し、それぞれ勉強時間・睡眠時間別の偏差値を算出した結果を表しています6)。棒グラフについて、平均の成績を意味する偏差値50を境に「平均50未満」を白色、「平均50以上」を赤色で色分けしています。左右のグラフを見比べてみると、スマホ使用「1時間未満」の子どもたち(右)よりも、「1時間以上」の子どもたち(左)の方が、「平均50以上」の成績を表す黒色の棒の数が顕著に少ないことがわかります。平均の偏差値を群間で比較するとスマホ使用「1時間未満」の子どもたちは57.2であるのに対し、「1時間以上」の子どもたちは52.6と低くなっています。
注目すべきは、たとえ同じ時間勉強をして睡眠をとっていたとしても1日1時間以上のスマホ使用が成績に悪影響を及ぼしているという点です。つまり、スマホをたくさん使う子どもたちは勉強をしないから、あるいは寝不足だから成績が低いというわけではありません。この結果から、インターネット使用は子どもたちの学力に直接的な悪影響を与えているという可能性が高まってきたのです。

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参考文献
1) こども家庭庁. (2025). 令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査報告書.
2) Young, K. S. (1998). Caught in the net: How to recognize the signs of internet addiction and a winning strategy for recovery. John Wiley& Sons.
3) Samaha, M., & Hawi, N. S. (2016). Relationships among smartphone addiction, stress, academic performance, and satisfaction with life. Computers in human behavior, 57, 321-325.
4) Becker, M. W., Alzahabi, R., & Hopwood, C. J. (2013). Media multitasking is associated with symptoms of depression and social anxiety. Cyberpsychology, behavior, and social networking, 16(2), 132-135.
5) 榊浩平, 川島隆太. (2023). スマホはどこまで脳を壊すか, 朝日新聞出版.
6) 宮城県仙台市教育委員会. (2018). 平成30年度 学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト リーフレット.

榊 浩平
1989年千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所助教。2019年東北大学大学院医学系研究修了。博士(医学)。人間の「生きる力」を育てる脳科学的な教育法の開発を目指している。脳計測実験や社会調査で得られた知見をもとに、教育現場での講演、教育委員会の顧問、本の執筆などの活動をしている。現在は「スマホ依存」をテーマに、人類と科学技術が健康的に共生する方法を模索している。
●榊先生の書いた本
「最新脳科学でついに出た結論『本の読み方』で学力は決まる」(共著/青春出版社)
「スマホはどこまで脳を壊すか」(朝日新書)がある。
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