「好き」が仕事に 桐商でPRIRET上久保さん講演 山ストール誕生の裏側語る
桐生市立商業高校(星野亨校長)は8日、1年生を対象にした「ビジネス基礎」の授業で、アウトドア用品「山ストール」の製造・販売を手がけるPRIRET(プライレット)代表・上久保匡人さんを招いて講演会を行った。1年生240人が参加した。同校では昨年から、ビジネスに対する考え方や知識の習得を目的に、ビジネス基礎の授業に社会人講師を招いている。
■「山ストール」誕生秘話
「山ストール」は、天然繊維と風通織を組み合わせて機能性を高めたアウトドア専用ストールで、上久保さんのアウトドア好きから生まれた商品。講演ではその誕生秘話が披露された。

【写真】PRIRETの山ストール(同社ホームページより)
上久保さんは大学時代、友人との登山経験を通じて、山登りの楽しさに目覚めたという。卒業後はワーキングホリデーでカナダに渡り、山遊びに明け暮れた。
帰国後は父親の家業を手伝いながら、「桐生の織物で何かできないか」と考えるようになった。知り合いの社長に相談すると、シルクのストールを手渡されたという。
「最初は正直、ストールって『おしゃれな人が巻くもの』というイメージしかなかったんです」と笑う。しかし、友人がそのストールを頭に巻いた姿を見て「これ、山でも使えるんじゃないか」とひらめいた。
そこから研究と試行錯誤の日々が始まった。耐久性や通気性、肌触りのバランスを工夫し、表地と裏地の色を変える難題にも染色職人とともに挑戦。「奇跡の一枚」が生まれたそうだ。「織物の知識が少なかったからこそ、固定観念にとらわれず新しい発想ができたと思う」と振り返る。
「山ストール」は登山者やアウトドア愛好家を中心に人気を集め、雑誌『ランドネ』などにも掲載された。「山頂で山ストールを巻いた人同士が声をかけ合ったという話を聞くと、本当にうれしいですね」と笑顔を見せた。
また、各地のアウトドアイベントにも出展し、北海道から沖縄まで販路を広げている。「自分の好きな場所に行って仕事ができる。まさに“遊びが仕事”になっています」と語った。
■運がいい人になろう

【写真】講演で仕事観について語る上久保さん(同校・体育館で)
講演の後半では、生徒たちに向けて「僕は努力しているつもりは全くないんです。好きなことを続けていたら、いつの間にか形になっていた。運がいいんです」と語り、同じ出来事でも「運がいい」と捉えるか「悪い」と見るかで人生が変わると伝えた。「運がいい人になりたければ、ものごとの“いい面”を見ることが大事」と前向きな言葉で締めくくった。
同校1年の石坂章人さんは将来、アプリ開発で起業する夢を描いている。「好きなことを仕事にできる人は一握り。すごいと思いました。自分も将来の目標に向かってやれるんじゃないかと励みになった」と感想を述べた。

【写真】上久保さんの講演を熱心に聞く1年生(同校・体育館で)
(編集部)
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