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群馬と世界をつなぐーGIC会長・大河原康生さん

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群馬と世界をつなぐーGIC会長・大河原康生さん

文化

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.06.28 
tags:GIC, GIC 群馬, GIC 群馬国際交流クラブ, クリエイティブ・スペース 大河原, クリエイティブ・スペース 群馬, 外国人 おもてなし, 大河原康生

群馬国際交流クラブの大河原康生会長。

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 イケメンだ。第一印象は爽やかな好青年。暑苦しくない。それでいて、熱がある。そしてクール。その日着ていた白のワイシャツが彼自身を象徴しているようだ。
 大河原康生、33歳。群馬国際交流クラブ(GIC)の会長だ。GICとは群馬に在住する外国人と日本人がイベントを通じて交流するサークルだ。本業は高崎市内の電設会社の取締役である。その彼がなぜ外国人と交流する団体を立ち上げたのか。そのいきさつに興味を持った。

 

 

ロンドン留学が人生の転機に


 大河原は地元の工業高校を卒業後、東京の大学に進学した。卒業後は実家に戻って、いずれは父親の会社を継ぐつもりでいた。しかし、卒業を控えた大学4年生の頃、将来の自分の進路について思い悩む。
   「自分が社会人として働いている姿がイメージできなかったんです」。このまま社会に飛び込んでしまっていいのだろうか。このことを大学のゼミの教授に打ち明けた。海外にでも行ってみたらいいじゃないか。それが教授のアドバイスだった。
 「はじめはモラトリアム的な意味合いもなくはなかったんですが、次第に世界を見たいという思いが強くなっていきましたね」
 1年間のイギリス・ロンドンへの留学を決意する。この海外経験を通じて、大河原は結果的に「日本」を知ることになる。日本のいい部分も悪い部分も俯瞰できるようになった。

 

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【写真】ロンドン留学時代の大河原


  「日本人ってポイ捨てしないし、店員さんが横柄な態度をとらないですよね。とてもマナーがいいんです。これはいい部分ですね」。
 イギリスでは、店員がお客に向かって舌打ちしたりと態度が悪かった。日本の接客ではありえない対応だ。しかし、一方で彼らは知っているか知らないかに関係なく、だれに対してもフレンドリーに接してくれる。すれ違えば挨拶するし、話しかけてきたりもする。
  「矛盾するかもしれませんが、彼らは分け隔てなく礼儀正しいんです」。
 それに比べて、日本人は他人に対してあまり興味を示さない。知らない人と目が合えば反らす。たとえば、たばこをコンビニの前で吸っていて、隣で吸っている人から話しかけられたりすることはまずない。「近い距離にいながら、自分のスマホをいじっているだけ。交流は生まれないですよね。まあ、シャイなんでしょうね」。

 

 

群馬に国際交流の場をつくりたい


 海外での生活は大河原にとって刺激的なものになった。帰国後は群馬に戻って、修行の意味合いもあって、実家の会社には就職せず、別の企業に勤めた。
 群馬での生活が長くなるにつれ、英語に対する渇望感が頭をもたげた。いや正確に言えば、英語を使って外国人と交流する場がほしいという思いが湧いてきた。
 「なんとなく外国人と交流したい、友達を作りたいと思ったとき、群馬にはそういう場がなかったんです」と大河原はその当時を振り返る。
 思い立ったら行動するタイプだ。何か自分にできることはないか。そんな矢先、たまたまバーで知り合ったカナダ人男性と仲良くなった。国際交流の場を作ろうと意気投合した。
 2014年、フェイスブック(FB)で交流会を行うことを告知すると30名くらいが集まった。「結構、同じような思いを抱いていた人たちが多かったんだと思います」と大河原は笑う。
 2回目は70人くらいにふくらんだ。大河原の企画した交流クラブはあっという間に大きくなった。
 こうして群馬国際交流クラブ(GIC)は産声をあげた。発足時の幹部は6名。「基本的に会員制ではないので、だれでも参加できますし、かなり自由度の高いサークル的な集まりです。参加する外国人はALTなどが多いですね」。
 ただし、英語を学ぼうという場ではない。あくまでイベントを通じて、外国人と日本人が交流することが趣旨だ。「たまに勘違いして、英語を教えてほしいと来る方がいますが、彼らは純粋にイベントを通して日本人との交流を楽しみたいと思っているので、ここはそういう場ではないですね」と強調する。
 現在は7名の幹部のうち3名が外国人。活動の主体は年に12回ほど開催するイベントだ。
 「日本的なイベントの時もありますし、ハロウィンやクリスマスなど外国の文化を紹介するときもあります」。

 4月は花見、5月はバーベキューといったようにイベントのテーマが決まっている月もあるが、その都度、何をするか考える月もあるそうだ。

 

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【写真】群馬国際交流クラブ(GIC)のイベントの様子 下は餅つき大会

 

外国人おもてなしコンサルタント


 実は大河原にはもう一つの肩書がある。外国人おもてなしコンサルタント。現在、Creative Space(クリエイティブ・スペース)という事業名で外国人観光客を迎え入れる接客業界のスタッフに英会話の研修を行っている。接客のシーンに特化した実用的な英会話だ。
 「おそらく日本で自分一人なんじゃないかな」と屈託のない笑みを浮かべる。
 旅館業や飲食業にとってメリットのある提案も行う。たとえば、鶏のから揚げは英訳すると「フライドチキン」。これでは外国人観光客には目を引かない。母国でも普通にたべられるからだ。「Japanese Fried Chicken Soy source flavored」。「日本風」「しょうゆ味」というフレーズをメニューに添えるだけで、ぐっと外国人の注文は増える。このように、店舗で活かせる外国人対応の具体的なコンサルティングを施す。


 時代は課題解決型の人材を必要としている。課題解決には問題を抱えた両者の真ん中に立って、うまく融通させる能力が必須だ。高いコミュニケーションの能力が要求される。大河原は間違いなく課題解決型の人材だ。
 日本人と交流を持ちたい外国人と外国人と交流を持ちたい日本人をつなぐ。
 外国人観光客の対応に困っているサービス業の人たちに自らの経験を生かしてコンサルティングを行い、外国人観光客がより日本での観光を楽しめるような環境づくりをする。これもまた「つなぐ」だ。
 東京の話ではない。これを群馬で実践しているところに意味がある。大河原の取り組みは「地方再生」の一つの在り方をしめしている。
 GICもクリエイティブ・スペースも外国人と日本人の架け橋の役割を果たしている。その中心に大河原は立っている。

(編集部=峯岸武司)

 

●GICのフェイスブック:https://www.facebook.com/gunma.international.club/

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