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装束で学ぶ「源氏物語」 樹徳高、群大の藤本教授招き特別講義

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装束で学ぶ「源氏物語」 樹徳高、群大の藤本教授招き特別講義

文化

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2021.12.12 

生徒に平安装束を着けさせて物語の場面を読み解いた藤本教授(右、樹徳高校で)

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 平安時代の装束を体験して物語への理解を深めようと、「『源氏物語』を遊ぶ―装束から見る『源氏物語』」と題した特別講義が10日、樹徳高校で行われた。講師に招かれたのは群馬大学共同教育学部の藤本宗利教授(桐生市在住)で、2年生進学クラスと1、3年の希望者が7階の畳敷き柔道場に集まって1000年前の衣生活に思いを巡らせた。


 古典へのアプローチに自らも装束をまとって講演する藤本教授。今回は石井佐矢士(さやと)さん(2年)に立烏帽子(たてえぼし)と狩衣(かりぎぬ)を着せ、石田明日美(あすみ)さん(同)は長袴(ながばかま)に単衣(ひとえ)から袿(うちき)、小袿を重ね、さらに裳(も)を着け唐衣(からぎぬ)を羽織らせて正装にして、源氏物語の場面を装束から読み解いてみせた。

 

 「男女の出会いの機会となるのが垣間見。『橋姫』の巻では、宇治を訪れた薫が源氏の異母弟八の宮の姫君たちをのぞき見る。当時の人たちは伊勢物語の第一段『初冠』を想起して読んだことでしょう」。その薫が身に着けていたのは石山寺蔵の画帖(がじょう)では烏帽子に狩衣。大和和紀の漫画「あさきゆめみし」でもそうだが、国宝の「源氏物語絵巻」では冠直衣(のうし)だ。

 

 「ストーリーからすれば、現代のジャージーといえる狩衣。国宝より漫画の方が正解です」とジャッジしつつ、「絵巻物の表現は、薫を直衣姿で描くことで相手の女性の身分の高さを示すとともに、彼の高貴さも表現しているのです」と藤本教授。

 

 そして女性は「袴の下に小袖を着たのは鎌倉時代から、帯もなく、唯一の結わえる機能が裳でした。正装と、くつろぎ着の女性と、どちらが身分が高いか。動く必要のある正装の方が下です。おひなさまは江戸時代以降ですね」。

 

 生徒からは「襲(かさ)ね色目」や「源氏香」についての質問も出ていた。

 

 殿役の石井さんは「思ったより軽くて、公家の気分を味わえました。古典は文法など難しいですが、装束を着けたのはおもしろく、もっと知識を深めたい」と感想。姫役の石田さんは「本の中に出てきた絹ずれの音を実際に聞いて、優美でゆったりした時間の中にいたのを感じました。足先指先まで意識できておもしろかった」と語っていた。

 

 

 

 

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