【未来創生塾】小学生、聴覚の不思議を体験
桐生市の産官学民で取り組むオリジナル教育プログラム「未来創生塾」(野田玲治塾長)の塾生が1月30日、桐生市市民文化会館(美喜仁桐生文化会館)のシルクホールで「聴覚」をテーマにした講義に臨み、ピアニスト・調律師・ホールスタッフという3人の音のプロから「心地よい音」が生まれる理由を学んだ。
2012年度に始まった未来創生塾は、本物の体験を通じて感性を磨き、未来を切り開く人間の育成を目指す桐生独自のプロジェクト。音の不思議に焦点を当てた「音の世界」も人気プログラムで、今年度は新型コロナウイルス禍による2度の延期の後、ようやく実現した。
受講した21人の親子は、ホールの舞台装置を知り尽くした桐生市スポーツ文化事業団スタッフから、生音のコンサートで活躍するせり上がり式の反響板ステージや、残響をコントロールする可変装置など、耳に心地よい音を生み出すための仕掛けについて学んだ。
ピアニストの石川雅代さんによる演奏を聞きながらホール内を歩き、音の聞こえ方の違いも体感。年齢に応じて聞こえる音が異なることなども、実験を通じて確かめた。
■グランドピアノ仕組みなども学ぶ
シルクホール専属の調律師・笹沢孝幸さんは、1台3000万円近くするコンサートグランドピアノを使って、ピアノの構造を解説。総計20㌧もの張力を支えるための頑丈な作りや、豊かな音を生み出す響板の仕組み、足元のペダルの役割なども丁寧に説明した。
最後は、石川さんが演奏するベートーベンのピアノソナタ「月光」を堪能した塾生たち。神明小3年の馬場音葉さんは「大人になると聞こえなくなる音があると知って驚いた。ホールの構造が分かっておもしろかった」と話していた。
新型コロナ禍に対応するため、この日は小型カメラの映像をスクリーンに投影する形で講義を進行。同塾では、密集をつくらない仕掛けを設け、プログラムを継続する計画だ。
【未来創生塾とは】
※画像は未来創生塾ホームページから。