「選択肢多すぎて難しい」統廃合?小中一貫校化?川内からは困惑の声ー学校再編検討委
急激に進む少子化に備えた桐生市立小中学校の再編を検討するため、同市教育委員会が市内9中学校区ごとに設置した「市学校規模等適正化中学校区検討委員会」。その川内中学校区検討委(池末晋介委員長、10委員)の第2回会合が4日、川内中学校で開かれた。委員からは他地区と学校統合すべきとの声がある一方、地域に学校を残そうと小中一貫校化を望む声も。「選択肢が多すぎて難しい」と困惑する声もあり、市にビジョンを示すよう求める意見が相次いだ。
検討委は1~2月、市教委が黒保根地区を除く9中学校区にそれぞれ設置。小中学校のPTA役員や校長、区長らが委員を務める。市教委は各検討委に対し、中学校区を越えて小中学校再編を進めるか否か、来年3月末を目安に一定の方向性を出すよう求めている。
市教委が示した児童生徒数の推計では、規模適正化の検討開始基準となる単学級(1学年1学級)が、川内小は今年度(全学年単学級は2032年度、複式学級は41年度)、川内中は30年度(全学年単学級は35年度)にそれぞれ生じる見込みだ。
会議では委員から「急速な少子化で市教委は10年先、市内に中学校何校あればいいと見ているのか」との質問に対し、市教委は「まずは地域の皆さんの意見をうかがってから組み立てていきたいという考え」と答えた。
別の委員からは「選択肢が多すぎて難しい。一地域では考えられない。市はビジョンを示して」という声がある一方、「いい教育環境で子どもを育てるには、ある程度学校を統廃合しないといけない」との声も出た。
このほか別の委員からは「地元に小中学校を残したいので小中一貫校化してほしい」「川内は『桐生ならではの特色ある教育』ができる地域。もう少し地区を広げて協議し、どの地区ならその教育ができるかという視点で統廃合しては」などと幅広い意見が出た。
さらに「(2010年度に)川内北小と川内南小が統合した際に委員をしたが、地域愛で最後は罵声が飛ぶ会議の連続で大変だった。中央中や清流中の統合時を知る人に、どんな問題があったかを聞いた上で前に進んでいくのはどうか」と語る委員もいた。
市教委は「前回の平成の適正配置時、市教委から学校の具体的な組み合わせを示したが、地域の声を聞かずに決めたと受け取られて大変な思いをしたと聞く。現段階では市が組み合わせ案を出すのではなく、まずは地域の声を聞きたい」とのスタンスを強調した。
池末委員長は「意見を吸い上げるだけでなく、(検討委で)どうするか決めてくれというスタンスなので、各中学校区とも困惑している。どこかの段階で市がビジョンを示すことが必要では」と指摘したうえで、「今回結論は出せない」として、9月下旬~11月中旬の次回会合に協議を持ち越した。
検討委の過去の議事録や配布資料は、市ホームページ「市学校規模等適正化中学校区検討委員会」の資料欄で見ることができる。
川内中学校区検討委の委員は次の通り。敬称略。◎は今年度の新任。
▽委員長=池末晋介(川内中PTA顧問)
▽副委員長=田村光市(16区長)
▽委員=◎大屋昌太(川内小PTA会長)、◎塩野文男(川内中PTA会長)、◎石原大祐(たかのす聖母保育園保護者)、松本明雄(川内地区子供会育成連絡協議会長)、尾花和子(市民生委員児童委員協議会16区主任児童委員)、福田康嗣(川内地区青少年愛育運動協議会長)、◎須永逸郎(川内小校長)、神山精二(川内中校長)
第2回会議の日程・開始時間(会場)
▽中央中学校区=5月23日午前10時(中央中)
▽清流中学校区=24日午後2時(清流中)
▽新里中学校区=27日午後2時(市新里支所3階)
▽梅田中学校区=28日午後2時(梅田中)
▽広沢中学校区=6月3日午後2時(広沢中)
▽境野中学校区=4日午後2時(境野中)
▽桜木中学校区=25日午後2時(桜木公民館)
▽相生中学校区=7月1日午後2時(相生中)
▽川内中学校区=4日午後2時(川内中)