前期入試への心構え
8日は群馬県公立高校の前期選抜だ。前期入試を間近に控え、緊張感を高ぶらせている受験生も少なくないだろう。
伊勢崎市の宮郷中に通うある中3の女子は「正直、前期で決まったらいいなと思う。受験から解放されるし」と本音を打ち明けてくれた。
一方、みどり市で学習塾を運営するナカジマ学習塾の塾長は「毎年感じているのですが、前期で決まる子は受験生全体の半数までいきません」と前置きしたうえで「それなのに、受かったらいいな、もしかしたら受かるかも、多分受かるだろうとだんだんエスカレートして、ダメだった時にショックを受けます。半分以上は不合格なのだからリラックス」と前期受験者の心の持ち方について助言する。
「前期入試に過剰な期待を抱くと、あとのリバウンドに苦しむことになるから要注意だ」と伊勢崎市内のA塾長も指摘する。
「特に女の子は、自分より学力の足りない生徒が受かったりすると、どうして自分はダメだったんだろうと引きずって、後期入試に前を向けなくなってしまうケースもあります」(A塾長)。後期を本番に設定し、「あくまで下見程度の気持ちで臨んだほうが無難」と話す。
前期に関しては、全定員の一部なので、倍率はどの高校も軒並み高い。学校によっては定員の50%まで前期で合格者を出す高校もあるが、それでも後期に比較して倍率が高いのには変わりはない。
県教委によって公開されている倍率は、全選抜方法(学力にウェイトのあるA選抜、部活などの課外活動の実績に重きを置いたB選抜)での数字だ。実際、A選抜、B選抜別に数字を出すと、A選抜の倍率がいかに狭き門かがわかる。
数字を公表している高崎高校は昨年度、公開倍率が3.90倍。選抜別に見ると、A選抜が5.08倍、B選抜が1.50倍で、かなり差があることが分かる。部活などの実績で受験する生徒(B選抜入試)のほうが、すでに絞り込まれている分、競争率は低い。おそらく他の学校も数字の差こそあれ同じような状況だろう。
「学年テストの結果はいつも1位、2位。部活も運動部で活躍し、生徒会や駅伝などの課外活動をやっていた生徒も前橋高校や高崎高校を前期で落とされています。数学オリンピックのような大会にも出場し、勉強にも意欲的な子ですよ。どう考えても受かるだろうという子でも前期の壁は乗り越えられませんでした」。こう話す学校関係者もある。
前期が終わったら、間を空けずに後期入試へと突入する。受験が終わって発表までの1週間は、もう前期のことは忘れて、後期に向けて邁進してもらいたい。
(編集部=峯岸武司)