フレックススクールってどんな学校? 太田フレックス高校編(上)
群馬県内にフレックススクールという形態の高校は太田フレックス高校と前橋清陵高校の2校だ。フレックススクールとはどういう形態の学校なのか。今回は太田フレックス高校(須田雄一郎校長)の佐藤創(はじめ)先生に同校の特色などについて聞いた。(2回中の1)
■入学式が年2回 入学試験が「フレックス」
【写真】太田フレックス高校・佐藤創先生
「本校は定時制という看板を掲げていますが、入試は全日制と同じ形をとっています。本県の全日制では昨年度から前期・後期がなくなり2月に一本化ましたが、本校も同じ日程で実施しました」。佐藤先生は太田フレックス高校の入試日程についてこう説明する。
検査問題は県教委が作成する全日制の問題と同じものを使う。ただ、異なるのは、検査科目が5科目ではなく、英語・数学・国語の3科目という点だ。この学力検査に加えて、面接が行われる(23年度データ)。
通信制課程は、定時制と異なり、3月中旬くらいから願書を受付し、その都度個別に入学検査(面接)を実施する。合否については郵送で通知する。
フレックススクールの場合、入学時期が春・秋2回あるのも特色の一つ。そのため秋入学希望者を対象に「8月入試」が行われる。ただ、募集定員は2月入試に比べて少なく、高校在籍者は出願できない。「科目は昨年度までですと、作文と面接試験ですね」(佐藤先生)
【図】太田フレックス高校の入試と入学する時期
■最短で3年で卒業も可能 卒業時期も「フレックス」
文部科学省の設定で在籍3年で卒業するのが全日制。一方、定時制やフレックススクールは基本4年~8年までの幅で通学できる。仕事をしながらなど、別のことをしながら学びを継続できるスタイルだ。自分のペースで通うことができる。「全日制はフルタイム、定時制やフレックスはパートタイムの学校とイメージすると分かりやすいかもしれません」(佐藤先生)
基本4年ではあるが、カリキュラムの組み方次第では3年でも卒業可能。半期制をとっているため、単位を取っていれば、3年半で秋に卒業することもできる。
「ただ、不登校など何らかの事情で中学にしっかり通えていなかったり、外国籍で日本語の読み書きがまだ不十分な生徒が3年で卒業というのは厳しいと思います。3年で卒業を目指して無理な時間割を作ってしまうと大変なことになってしまいます」と佐藤先生。
【図】太田フレックス高校の在籍イメージ
上の図でいうと▲の部分で卒業が可能だ。
卒業する年次では、Ⅰ部~Ⅲ部の枠組みに関係なく授業を取ることができる。たとえば、Ⅱ部の生徒は基本的には午後からの登校だが、Ⅰ部の時間帯に授業を組むことができる。「そのままの生活スタイルで卒業すると就職後の生活ギャップが大きくなるため、就職に備えて午前中心に組んでもらうわけです」と佐藤先生はその理由を説明する。
■通学時間も時間割も「フレックス」
フレックススクールは、定時制と違い、登校する時間に幅があり柔軟に時間割を組むことができる。
太田フレックス高校の場合、午前中心のⅠ部、午後中心のⅡ部、夜中心のⅢ部から成る「3部制」が採用されている。生徒それぞれの生活スタイルなど合わせて選べる。Ⅰ~Ⅲ部は教員の勤務形態の都合で指導教員が違うこと以外、学ぶ内容はほぼ一緒。ただ、Ⅲ部はリカレント教育(学び直し)的な要素があるようだ。
標準的なカリキュラムの組み立て方は毎日2コマずつ履修。この形であれば4年間で卒業できる。「定時制高校は1コマ45分授業ですが、本校は1時間の授業が90分で、他の高校の2コマ分に相当します」(佐藤先生)
【図】太田フレックス高校の時間割イメージと「3部制」について
部活動はⅠ~Ⅲ部合同で午後4時30分~5時30分の時間に行われている。「Ⅰ部の生徒は昼に授業が終わるので部活動の時間まで待っている生徒もいます。部活登録者は6人に1人くらいですかね」とは佐藤先生。本気で部活動をやりたければⅡ部かⅢ部で入学する生徒が多いようだ。
(つづく)
写真で見る太田フレックス高校(1)
【写真】授業風景①
【写真】授業風景②
【写真】授業風景③
【写真】授業風景④