フレックススクールってどんな学校? 太田フレックス高校編(下)
群馬県内にフレックススクールという形態の高校は太田フレックス高校と前橋清陵高校の2校だ。フレックススクールとはどういう形態の学校なのか。今回は太田フレックス高校(須田雄一郎校長)の佐藤創(はじめ)先生に同校の特色などについて聞いた。(2回中の2)
■「フレックス」という校名ゆえの誤解
【写真】太田フレックス高校・佐藤創先生
子どもたちの学びのニーズが多種多様化している中、カリキュラムなどの点でフレックスに対応できる学校がフレックススクールだ。
「コースも何もなく、まったくフリーハンドで自分の時間割を作れる学校です」。佐藤先生は同校を含めたフレックススクールの特徴をこう説明する。とはいえ、普通科の高校なので、必履修科目は設定されている。
「本校は好きな科目だけ取れる学校と誤解されている方もいますが、たとえば体育が嫌いでも、必履修科目だからとらなければいけないんです」と佐藤先生は注意を促す。そういうミスマッチで続けられなくなった生徒もいるそうだ。
時間割は生徒それぞれが組み立てる。1年生は入学式前に来てもらい時間割を決める。必履修科目が多く、ほとんど選ぶ余地がないため、時間割を作るのは比較的容易にできるという。
これに対して、2年次以降は「時間割を作るのは大変な作業」(佐藤先生)。大学と同じく講座を選ぶスタイルのため、各授業の受講者数もバラバラになりがちだ。定員がいっぱいになってしまい、受講を断るケースも出てくる。学年末試験の結果で単位がとれていなければ再受講しなければいけないため、時間割の組み立ては容易ではない。このため時間割作りには1ヶ月かけているそうだ。
受講の仕方が大学に近いため、1組、2組…といった「クラス」はない。「こういうスタイルのため誤解されやすいのですが、決して少人数指導の学校ではないんです。たしかに少人数の授業もありますが、30人規模の授業もあり、入学後、戸惑うケースもあると聞きました」と佐藤先生は言う。
服装についても同様だ。「制服がないと うたってはいますが、かといって服装が自由というわけではなく、自由度はあるものの学校で学ぶのにふさわしい服装は求めています」(佐藤先生)
「フレックス」という言葉が独り歩きし、誤解したまま入学してしまうのを防ぐため、本気で入学を考えている中学生にはオープンスクールだけでなく、「個別の学校見学に参加してほしい」と佐藤先生は強く訴える。あくまでオープンスクールは学校の雰囲気に触れるためのもので、学校の仕組みなどを理解するためには個別の学校見学は不可欠だという。「面接で本校について質問されるので個別の見学の参加は入試にとってもプラスです」と佐藤先生。
個別の学校見学は6月からスタートする。昨年までは中学校を通じての申し込みだったが、今年からは中学校の許可を得た上で、保護者か本人がインターネットを通じて申し込める。ただし、学校見学は生徒だけの参加はできず、保護者の同伴が必要だ。
■4分の1が外国籍の生徒という特色を生かして多様な学びの実現へ
外国籍の生徒が多いというのも同校の特色といえるかもしれない。本当は学力があっても「言葉の壁」で本領を発揮できない外国籍の子どもたちは少なくない。「本校は4分の1くらいが外国籍の生徒です」と佐藤先生は内情をあかす。それゆえ日本語指導の仕組みづくりが求められている。2023年度には「県立高校などにおける日本語指導の体制づくり」事業のモデル校に指定された。日本語を学ぶ講座や中学校までの学習内容を学ぶ直す講座が設けられているというのも同校の特色の一つと言えるかもしれない。
また今年度から、県の事業であるSAH(「自ら考え判断し行動できる生徒」の育成を目的としたスチューデント・エージェンシー・ハイスクール)の協力校に名乗りを上げた。今後の取り組みが期待される。
(編集部)
写真で見る太田フレックス高校(2)
【写真】図書室の様子
【写真】図書室内にも教室が・・・
【写真】校庭の様子
【写真】掲示物もインターナショナル