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公立トップ高の大学入試 推薦事情ー高崎高校を例に考える

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公立トップ高の大学入試 推薦事情ー高崎高校を例に考える

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2015.10.13 
tags:AO, 推薦入試, 高崎高校

  「全合格者に占めるAO・推薦入試の占める比率は2.6%。実数にして15名です」。

 10月13日(火)、高崎高校で実施された学習塾対象の学校説明会。その中で進路指導の担当の教諭は、こう説明した。

 内訳はAO入試は東北大・名古屋大で4名。私立のAOは0名。指定校推薦利用が早稲田大、北里大など5名。公募推薦は、群馬大や首都大東京などで6名だ。

 高崎高校は指定校として慶応やMARCHクラスも持っているが、これらの大学で指定校利用が皆無だったというのは、出席した塾関係者に驚きをもって受け止められた。

 

 この数字は今年に関してだけなのか。

 森泉・高崎高校副校長の話によると、「例年、ほぼ同じくらいで推移しています」とのこと。

 もちろん、指定校推薦を利用した慶応志望者はいないわけではない。ただ、基準をクリアしている生徒は、東大や旧帝大などの国立難関校が第一志望だったりする。一方で、志望している生徒は基準に達していない。そのため、人気大学であっても、結果的に指定校利用が少なくなってしまう。

 文部科学省の資料では、平成24年度の推薦入試・AO入試で入学した比率は全入学者の43.3%を占める。高高の数字は合格者なので、一概に比較できないが、推薦入試の場合は合格者が進学する割合はほぼ100%に近い。データ自体の年度も違うが、ここ数年のAO・推薦比率は4割程度で推移しているので、高高の推薦による進学者の比率の少なさは際立っている。

 

 館林市内で塾を開いているT氏は「実は塾生に徳島県出身の子がいて、徳島の上位校もほとんど推薦はいないと保護者が話していた」と話す。

 「実感値でしかありませんが、地方のトップ高のAO・推薦での進学比率は10%以内というのが、相場です」。大学受験のコンサルタントを務めていたA氏の言葉はこのことを裏付ける。

 基本的に地方の公立トップ高は、その地域の旧帝大を進路として薦めるケースが多く、北関東であれば、東大を筆頭に、東北大が上位層の狙う大学のラインとして想定されているというのだ。そのため、「安易に指定校に流れないように進路指導している学校もあります。もし旧帝大を狙えるような生徒が指定校で早慶などに流れたら、進路指導主事が突き上げられるなんて話も過去聞きました」(A氏)

 群馬県内の他のトップ校のデータはないが、A氏の話で推測すれば、前橋高校なども高高と同様の比率であると考えてよいのかもしれない。

 一方で、二番手、三番手校は逆に推薦での受験を勧めるケースが多いという。

 「ある私立高校などは指定校推薦の枠が多いことを売りにしていたりします。実際、推薦での進学も少なくないと聞いています。本番の受験で受からなさそうな生徒は、指定校に落とし込む学校もどうやらあるそうです」と話すのは、別の塾関係者。

 中堅校になるほど、非一般受験で大学に入学する比率は高くなる傾向にあるそうだ。

 

(記者ノート)

「無茶だけど無理じゃない」。高崎高校新聞によれば、高高生は最後に踏ん張りたいとき、部活や勉強でめげそうな自分を奮起したいときに、このキャッチフレーズを好んで使うそうだ。この言葉の髙高の高3生への浸透度は100%だ。

 この言葉に象徴された高崎高校の校風が、自分の第一志望にこだわる土壌を作りあげているのかもしれない。一般入試での合格比率95%強。まさに、この驚異的な数字は、高崎高校の強さの表れでもある。

                                    (編集部=峯岸武司)

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