定員割れの学校数は過去最大でも群馬県の中3は公立志向 通信制高校の成長も裏付ける 群馬・栃木・埼玉3県の進路希望調査を分析ー
12月に発表された群馬、栃木、埼玉3県の進路希望調査を比較・分析し、中3生の進路の傾向を探った。
分析すると、定員割れの公立高校が過去最大で6割になったが、前年同期比で群馬県は栃木、埼玉に比べ、公立高校希望者の比率が上がるなど、「公立離れ」が進んでいるわけではないことが分かった。また、最近ニュースで話題になることの多い通信制高校は3県とも前年を上回っており、まだ全体の1割に満たないが、少子化の進む中、成長市場であることが裏付けられた。
■全日制高校の進路希望 公髙私低の群馬・栃木と公低私髙の埼玉
各高校種別において最も多いのが全日制高校だ。全日制高校の希望比率は全中学生の約8割。この傾向は全国的にも変わらない。3県で細かくみるとやや埼玉県が低め。
全日制高校のうち、公立高校(埼玉は国立含む)への進学を希望する生徒は群馬、栃木両県は約68%で、公立志向の強い土地柄と言える。一方の埼玉県は私立高校への進学を希望する生徒が3県中トップで17.9%だった。首都圏ほど私立志向が強いことを裏付けた格好だ。
(群馬・栃木・埼玉の各県教委の12月進路希望調査をもとに編集部で作成)
(群馬・栃木・埼玉の各県教委の12月進路希望調査をもとに編集部で作成)
昨年、群馬県の公立高校で定員割れの高校が6割を超えたことがニュースになったが、前年同期の進路希望調査で比較すると群馬県の中学生は0.6㌽上がっている。栃木、埼玉両県では、若干ではあるが、公立離れが進んでいる。私立高校への進学希望者の比率が前年に対して伸びていることがそのことを裏付ける。対して、群馬県は私立高校(県内)への進学希望者の比率が1㌽と落ち込んだ。
■少子化時代に成長する通信制高校市場
全日制高校以外での進路希望状況はどうか。
(群馬・栃木・埼玉の各県教委の12月進路希望調査をもとに編集部で作成)
「高専」への進学希望者は埼玉がやや低く0.2%。この数字は中等教育学校の生徒数も含まれているので、群馬、栃木と比べてかなり低いといえる。
「その他高校」は各県内の定時制、通信制、特別支援学校など、全日制と高専以外の学校が含まれている。
「通信制」はその他高校の区分のから取り出した割合。たとえば群馬県でいうとその他高校8.7%の内訳に通信制4.5%が入っている。埼玉県は通信制高校の進学者希望者が6.7%と群馬、栃木の2県に比べ多くなっている。
栃木県は数字だけでみると通信制進学希望者の比率が1.2%と低いが、栃木県教育委員会は私立の通信制・定時制高校を「県外」に分類しており、その比率が5.4%と多いため、分類を変えれば、群馬県と同程度の比率になるはずだ。
前年同期の比較でみると、群馬県0.22㌽(公立通信制と私立広域通信制)、栃木県0.2㌽、埼玉県0.6㌽と3県とも前年を超えており、他の学校種別に比べ、通信制が人気を集めていることを裏付けた。全体の構成比はまだ1割に満たないが、今後も増加していくことが予想される。経年で通信制高校の進学希望率を調査してきた神奈川県教育委員会の資料によると、10年前に比べ、3倍近く希望者を増やしていることが分かる。
(神奈川県教育委員会の進路希望調査による)
(編集部)