戦争の悲惨さ伝える旧陸軍戦闘機「飛燕」の残骸 初公開 館林市第一資料館企画展「館林と戦争」
戦後80年を迎え、平和の願いを次世代につなぐ企画展「館林と戦争」が9月21日まで、館林市第一資料館(市立図書館併設)で開かれている。
同市教育委員会は太平洋戦争終結80年の節目に近年収集、発見された資料や戦争体験者の新たな証言を紹介、平和の尊さを訴えている。今回の展示では終戦末期の1945年に館林市上空でアメリカ軍との空中戦で撃墜された旧陸軍三式戦闘機「飛燕」の残骸を初公開した。
この「飛燕」のパイロットは沖縄県出身の新垣 安雄 少尉(当時25歳)。同市木戸町の桑畑に墜落後、長く地中に埋まったままだったが、79年に地元住民の要望で機体と遺骨の発掘作業が行われた。慰霊祭も執り行われ、近くの寺で供養墓も建てられた。





館内には、この「飛燕」の残骸の一部、プロペラや操縦席、水平尾翼、エンジン、タイヤ、燃料噴射ポンプなどを展示している。空気抵抗の少ない流線型の優美な機体は残念ながらも墜落の衝撃で分解。塗装はされず、金属むき出しの銀色と推測される。赤い「日の丸」らしきマーキングもかすかに残る。機体の残骸はしばらく町内に保管されていたが、歴史教育に活用してもらおうと同市教育委員会に寄贈。一般市民にも見学ができるようになった。
ほかにも旧陸軍館林飛行場に在籍した特攻隊員からの手紙や郷土史家・福田啓作の戦時下の日記など約70点を紹介している。
企画展の担当者は「80年前の戦争が館林にも無関係ではなく、むしろ身近に存在していた。愛する家族や故郷を守るため、命をかけて戦った先人たちに敬意を払いつつ、平和の大切さを知っていただきたい」と話している。
入館・見学は無料。午前9時から午後5時まで(最終入館は午後4時半まで)。8月3日、9月7日の午前11時からは「展示解説会」(約30分)も開かれる。休館日などの詳しい問合せは館林市第一資料館へ(☎0276-74-4111)
(編集部)
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