見えてきた統合協議先 ブロック化進む中学校区 少子化度合いで温度差も 桐生市立小中学校再編
少子化に備えた桐生市立小中学校再編に向け、同市教育委員会が9月下旬~11月上旬、市内9中学校区で順次開催した「市学校規模等適正化中学校区検討委員会」の第3回会合。各中学校区の小中学校PTA役員や自治会長ら委員は、どのような枠組みで今後の学校統合を検討すべきかを協議した。児童生徒数の減り具合によって温度差はあるものの、市教委の提案に沿って、今後の統合協議の枠組みがおぼろげながら見えてきた。
「中央・清流・境野・梅田の4中学校区」、「広沢・桜木の2中学校区」、「相生・川内の2中学校区」、「単独の新里中学校区」という4つの地域グループで来年度から、小中学校統合に向けた協議の場をつくってはどうか──。
各検討委の第1、2回会合で委員から出た意見などを踏まえ、市教委は今回の第3回会合で初めて、各中学校区を4つの地域にグループ分けした具体的な小中学校統合協議の枠組みを提案した。
中央・清流・境野・梅田の各中学校区では「今後の児童数減少を考えたら選択の余地はない」(清流中学校区)、「ブロック分けは保護者の意見に沿う」(境野中学校区)、「いち早く統合を」(梅田中学校区)などと肯定的な意見が相次ぎ、4中学校区での統合協議に異論は出なかった。
ただ中央中学校区の検討委では一部委員から、「川内を加えた5中学校区」の枠組みも検討してはどうかとの声が出た。
相生・川内の2中学校区はどうか。先に第3回会合を開いた川内中学校区では、小中一貫校化を望む声が出たものの、相生中学校区との統合協議に概ね賛同。相生中学校区でも慎重意見はあったが、川内中学校区との統合協議に前向きな意見が相次いだ。
広沢・桜木の2中学校区の反応は微妙に異なる。先に第3回会合を開いた広沢中学校区では「議論が尽くされていない」として次回再協議に。桜木中学校区は相生中学校区近くに居住する委員からの懸念はあったものの、広沢中学校区との統合協議に概ね賛同した。
特に次回再協議となった広沢中学校区は、「児童数減少が切実な他地区とは違う」として現状維持を望む声がある一方、「将来を見据え桜木中学校区との統合協議が必要」という声も。「もう少し揉んだうえで結論を」と方向付けを次回の第4回会合に持ち越した。
新里中学校区は、みどり市を挟んでいて旧桐生市内の中学校区と隣接していないことなどから、他中学校区と統合協議の必要なしとの方向性をあらためて確認。新里中学校区内にある3小学校の同時統合を目指すべきとの意見が大勢を占めた。
中学校区の枠を越えて学校統合を協議する場合は、来年度に複数の中学校区検討委で「地域協議会」を編成することになる。
各検討委は今後、各委員が所属団体の意見を吸い上げたうえで、次回会合であらためて協議予定。各中学校区で▽地域協議会を編成するか▽編成する場合はどこの中学校区と編成するか─について最終確認する。
市教委によると、検討委設置から小中学校統合まで通常5年程度かかるとされる。少子化で待ったなしの市立小中学校再編。来年1月中旬~2月末の第4回会合で、各中学校区がどのような方向性を出すか注目される。
【メモ】
各中学校区検討委=市教委が今年1~2月、黒保根地区(小中一貫校化)を除く市内9中学校区に設置。各区の小中学校や未就学児の保護者代表、自治会長、青少年団体代表、校長らが務める。
市教委は各中学校区検討委に対し、中学校区を超えて小中学校統合を進めるか否か(来年度に複数の中学校区で「地域協議会」を編成するか否か)、今年度中に方向性を出すよう求めている。
市教委は人口推計などをもとに、市立小中学校の今後25年間の児童生徒数(黒保根除く)の推計を各検討委に公表。2024年度の5687人が49年度には2271人に激減し、減少率は60.1%に達する見込みという。
それに伴って学級数も減少。小学校16校のうち今年度5校(東、北、梅田南、菱、新里北)が全学年単学級。今後5年以内に2校(西と南)、同10年以内に6校(境野、相生、川内、桜木、神明、新里中央)が加わる。
さらに今後10年以内に2校(梅田南と新里北)、同20年以内に4校(東、西、川内、菱)が複式学級化。46年度には広沢小を除く15校が複式学級(6校)か全学年単学級(9校)になる。
中学校9校のうち今年度に全学年単学級なのは梅田中1校で、10年後には複式学級化。今後20年以内に4校(中央、清流、境野、川内)が全学年単学級化し、残る4校(広沢、相生、桜木、新里)も全学年2学級となる。
◆桐生市教委が示した地域ブロック案
①中央・清流・境野・梅田の4中学校区
②広沢・桜木の2中学校区
③相生・川内の両中学校区
④新里中学校区