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【編集長コラム】子どもたちに、家入さんが伝えたかったこと

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【編集長コラム】子どもたちに、家入さんが伝えたかったこと

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2026.03.17 
tags:BASE 家入一真, こども未来フェス, ロリポップ 家入一真, 家入一真, 山田かまち

「涙が止まらなかった」——講演を聴いていた一人の母親が、そう言った。娘の不登校に悩んでいるという。その胸に、家入一真さんの言葉が静かに染み込んだ。

 

 講演後、家入さんのもとにはダイレクトメッセージで感謝の言葉がいくつも届いたと、マネージャーから聞いた。こうした反応に触れるたび、この講演会を企画してよかったと心から思う。

 

 こども未来フェス桐生会場における家入さんの講演は、イベント全体の柱の一つだった。不登校や引きこもりを経験しながらもIT起業家として活躍してきたその歩みは、今まさに悩みの渦中にいる子どもや家族に、ささやかな光を灯すのではないか——そう考えて登壇をお願いした。

 

 講演のテーマは「ボクがいま中高生に伝えたいこと」。いじめをきっかけとした引きこもりの経験から、レンタルサーバー「ロリポップ」の立ち上げ、さらにネットショップ作成サービス「BASE」やクラウドファンディング「CAMPFIRE」など、数々の事業を生み出してきた半生が語られた。

 

 その根底にあるのは、「かつての自分のような人に、ネットを通じて居場所をつくれないか」という発想だという。「人生をかけて、誰もが声を上げられる居場所をつくりたい」。その言葉には、自身の経験に裏打ちされた重みがあった。

 講演の中で何度も語られたのが、マイノリティーへのまなざしだった。かつて当事者だったからこそ、その語りはどこまでも具体的で、優しい。

 また、脳性まひの小児科医である熊谷晋一郎さんの言葉「自立とは、一人で生きることではなく、多くの依存先を持つこと」も紹介された。自らの傷つきの経験を起点に、「現代版の駆け込み寺」を目指して始めたシェアハウス「リバ邸」の話は、その思想を体現するものだった。

 

 「居場所は網目のようなものだ」と家入さんは言う。どこかに引っかかることができれば、人はもう一度立ち上がれる。その網目が幾重にも重なっていくほど、社会は豊かになっていく——そんなイメージだ。

 

 進路という言葉から、多くの人は「学校へ進むこと」を思い浮かべる。しかし私は、進路とは「進むべき路」だと捉えている。「べき」という言葉は強く響くかもしれないが、どれほど苦しい道であっても、振り返ったときに意味のある通過点だったと感じることは少なくない。負の経験が、のちにプラスへと転じることもある。そうした思いを込めての「べき」である。

 そして、その道は必ずしも学校とは限らない。誰もが「きらきらした一本道」を歩けるわけではない。だからこそ今回のイベントでは、子どもたちに進路の多様性を示したかった。一般的な学校説明会という形式をあえて取らなかったのも、そのためである。

 

 「世界は広い」——壇上から子どもたちに、家入一真さんはそう語りかけた。

かつて山田かまちの絵に出会い、家入さんの人生が大きく動き始めたように、この日、講演会に参加した子どもたちの中にも、小さな変化の芽が生まれたらいいなと思っている。

みんなの学校新聞

編集長 峯岸武司

 

 

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編集部より 記事は配信日時点での情報です。

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