雨の敷島球場 七つの学校、一つの応援ー「連合チーム」応援席の舞台裏
ブルー、グレー、白――。同じベンチに並ぶさまざまなユニフォーム。それでも、一勝への思いは一つだった。
全国高校野球選手権群馬大会が開幕した6日、上毛新聞敷島球場。沼田―勢多農林戦が終わったあたりから小雨が降り始め、プレーボールを迎える11時半頃には雨脚が強まっていた。その雨の中、前橋西・玉村・榛名・下仁田・藤岡工・吉井・長野原の7校による連合チームが、高崎高との初戦に臨んだ。
部員不足の学校同士が力を合わせて出場する連合チーム。高野連は部員数8人以下の加盟校に合同チームでの出場を認めている。部員不足は地方の高校野球が抱える現実でもある。選手たちはそれぞれの学校のユニフォームでグラウンドに立った。
平日はそれぞれの学校で練習し、土日だけ集まってチームワークを深めた。普通のチームなら毎日積み重ねられる時間を、彼らは限られた週末だけで補ってきた。
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試合は厳しい立ち上がりとなった。初回、高崎打線の勢いに押されて5点を先制されると、二回にも5点を奪われ、序盤で大きくリードを許した。
それでも連合チームは下を向かなかった。二回裏、一死から小林、西沢が続けてヒットを放ち、黒岩が送りバントでチャンスを広げる。一番・野正がセンター前へタイムリーヒットを放ち、待望の1点を返した。7校でつないだチャンスを、7校でつかんだ1点だった。
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この日の3塁側応援席も、まさに「連合」だった。
「観客席も連合チームです」。藤岡工の星野亨校長はそう話し、三塁側の応援席を見つめた。7校から集まった生徒たちは、それぞれ色の違うメガホンを手に声援を送る。
実は応援団も、この日がぶっつけ本番だった。「単独で出場している高校はこの日に向けて応援練習をしているそうですが、僕たちはほぼ初顔合わせです」。藤工3年生で生徒会長を務める杉安敏さんは舞台裏を明かす。
とはいえ、吹奏楽を担当した吉井高を中心に、応援は驚くほど息が合っていた。藤工は昨年に続く連合チームでの出場。今年は約40人の生徒が応援席に集まった。
7校連合チーム 応援の様子




そのきっかけは、生徒会の目安箱に寄せられた一通の「野球部を応援したい」という投稿だった。杉安さんら生徒会メンバーが校長へ直談判し、応援団の結成が実現。生徒会の呼び掛けに多くの生徒が応えたという。
「本当にうれしかったですね」。星野校長は目を細めた。
三塁側の応援席には、7校の校長も勢ぞろいした。胸には7校連合オリジナルのワッペンシール。7色のシャツは吉井高校の校長がこの日のために用意したものだという。
応援席には、一体の「だるま」も静かにグラウンドを見つめていた。
藤工野球部の須田悠太選手の母親が持参したものだ。「小学6年生の弟がダンス大会で優勝したときに、もらった『だるま』なんです。ゲン担ぎです」と笑顔を見せた。
父・将弘さんは「連合チームだから大変なこともあったと思いますが、前向きに取り組んでいました。何より部員3人しかいない藤工野球部を、監督が根気強く熱心に指導してくださったことに感謝しています」と三塁を守る息子を温かく見守っていた。

【写真】7校連合校長(敷島球場で)

【写真】応援するだるま(敷島球場で)
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五回裏。11-1。この回で点を入れられなければコールド負けになる厳しい局面で、連合チームは意地を見せた。先頭の杉浦が四球で出塁し、飯野がライト前ヒットで続く。石原が送りバントを決め、須田の内野ゴロの間に1点を返した。
しかし、六回表、高崎高は本多のランナー3人を迎え入れるタイムリースリーベースなどで5点を追加。16―2で6回コールドゲームとなった。
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雨が降り仕切る中、傘も差さずに色とりどりのメガホンで声援を送る生徒ら。「応援に来れてよかったです」と藤工生徒会長の杉安さんは言った。
「7つの学校が一つになったチーム」が残したものは決して小さくはない。
(編集部)
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