【専門家に聞く】高校無償化で進学はどう変わる?
2026年4月から高校無償化について、私立高校向けを含めて所得制限がなくなりました。世帯年収は在留資格・学校種別などの例外規定がありますが、基本的にはどの世帯でも高校無償化の支援を受けられるようになりました。
一方、「無償化」のキーワードが先行した結果、学費以外の費用も国が負担する、と誤解する保護者も多くいました。
今回、高校無償化の現状、保護者の高校選択のポイントなどを大学ジャーナリストの石渡嶺司さんに解説していただきました。(本稿はタブロイド判「みんなの学校新聞」(26年7月号)に掲載されたものです)

■全世帯対象、でも申請しないともらえない
高校無償化は国からの支援、自治体からの支援、2種類あります。 なお、自動的に支給されるものではなく、申請が必要です。入学・在籍している学校から案内が配布されますので必ず確認してください。申請を忘れた場合、未申請の期間は授業料が実質負担となります。
国からの支援は26年度から支給要件を満たすすべての世帯が対象になりました。25年度までは世帯年収の制限がありましたが、26年度以降は撤廃されています。公立高校11万8800円、私立高校では全国平均授業料相当額の45万7200円が支給額の上限になります。
国公立の場合、支援金申請者は授業料支払いが保留となります。認定が下りれば、授業料と支援金は相殺されるため、家計からの支払いは事実上、発生しないことになります。 一方、私立の場合は、還付方式と相殺方式に分かれます。
還付方式は入学時に高校指定額を全額支払うことになります。その後、国や県から学校へ支援金が入金された時期(または年度末)にまとめて、学校から保護者の口座へ払い戻しが行われます。
相殺方式は支援金見込み額を差し引いた額を支払うことになります。 保護者に負担が少ないのは相殺方式ですが、事務処理の煩雑さから還付方式を採用する高校もあります。
注意するポイント
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国籍・在留資格などの要件があります。
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支給される上限年額は校種などによって異なります。
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■無償化=全額無料ではない
「高校無償化」というキーワードから入学時の支払いが全額無料となる、と考えられる方が多くいますが、それは誤解です。支援金の対象は授業料のみです。
入学金、教科書・教材費、制服代、修学旅行積立金、施設費・後援会費、部活費用などは支援金の対象外であり、入学時(または高校指定時期)に支払う必要があります。 私立によっては、修学旅行や教科書・教材費などが保護者の想像以上に高額なところもあります。
また、26年5月の常磐道バス事故の影響で、公立・私立問わず部活動の遠征費用が見直される可能性があります。
■都道府県により上乗せ額・対象はバラバラ
高校無償化は国だけでなく都道府県による支援金もあります。こちらは実施する自治体もあれば、そうではない自治体もあります。実施自治体は国からの支援金に上乗せする形になります。
ただ、世帯年収要件を撤廃した国と異なり、自治体の支援金は世帯年収、保護者・生徒が県内在住かどうか、県内高校のみか県外高校も含めるか、など自治体により分かれます。
詳細は各都道府県のサイトから「高校授業料」「就学支援金制度」などで検索してご確認ください。支援金の流れは国からの支援金と同じです。
■公立高は都市部・地方とも倍率が低下
高校無償化の影響で、都市部、地方ともに公立の倍率は低下しました。高校によっては定員割れとなるところも出ています。
公立に問題があって倍率が低下した、というわけではありません。それだけ、高校無償化による私立シフトが進んだ、と言っていいでしょう。実業系の高校だけでなく、いわゆる進学校でも倍率が低下しています。逆に言えば、公立高校は受験しやすくなった、とも言えます。
■高校の特色とわが子の志望が合うかどうか+お金も
それでは、わが子の高校進学を検討する保護者の方は、高校選びをどうすればいいでしょうか。 ポイントとしては、高校の特色、わが子の志望、そしてお金です。
同じ普通科であっても、高校により特色は異なります。その特色と中学生の志望がマッチングするかどうかが一番重要です。
そして、費用についても私立は細かく見る必要があります。前記のように、国からの支援金は授業料のみです。制服や教科書代、修学旅行積立金などが支払えるかどうか、そこに価値を見いだせるかどうか、考える必要があります。
教えてくれた専門家
石渡 嶺司さん 大学ジャーナリスト。1975年札幌市生まれ。1999年、東洋大学社会学部卒業。2003年から現職。大学・教育・就職・キャリアを主テーマとして取材・執筆を続ける。著作は35冊(累計68万部)。テレビ・ラジオも不定期に出演。
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