【学校探訪記】近代から継承される共愛の教育(1) 歩み編
創立から129年の長い歴史を歩んできた共愛学園(前橋市)は幼児から大学生までの幅広い層が集う県内で唯一の総合学園だ。同学園が掲げる教育方針は「わたしがあなたがたを愛したようにあなたがたも互いに愛し合いなさい」という聖書の言葉である。「共愛」という名前もこの言葉に基づいて名付けられた。
今回の学校探訪記は、共愛学園の「いま」を卒業生や学園関係者の声を織り交ぜながら紹介する。全4回シリーズの今回は共愛学園の歴史にスポットライトをあてる。
今回の学校探訪記は、共愛学園の「いま」を卒業生や学園関係者の声を織り交ぜながら紹介する。全4回シリーズの今回は共愛学園の歴史にスポットライトをあてる。
|美しいチャペルの礼拝からはじまる一日
共愛学園の一日は朝の礼拝から始まる。8:40からおよそ15分間、全校生徒が礼拝堂に集い讃美歌を歌い、聖書の言葉に耳を傾ける。
共愛学園の一日は朝の礼拝から始まる。8:40からおよそ15分間、全校生徒が礼拝堂に集い讃美歌を歌い、聖書の言葉に耳を傾ける。
「可愛い制服に袖を通し、学校へ行くとまず、美しいチャペルでの礼拝から一日が始まります。パイプオルガンの音色に合わせて讃美歌を歌う。私はクリスチャンではありませんが、この毎朝の習慣がとても瑞々しく感じられ、どんな悩みがあってもここで自分をリセットできる、かけがえのない場所でした」。
学園での生活をこう振り返るのは、同学園中学高校を卒業した、テレビ東京アナウンサーの相内優香さんだ。彼女は現在、同局のアナウンサーとして報道番組からバラエティ番組まで幅広く活躍している。
「先生も、友人も夢や目標に対してまっすぐに応援する、そんな温かい気風に溢れていたので、夢に向かってまい進することができ、共愛でなければ今の自分はなかったな、と思います」と相内さんは共愛学園時代を懐かしむ。
【写真】朝の礼拝の様子(上下とも)
|キリスト教主義の学校としての歩み
共愛学園中学高校は今年で創立129年目を迎える。同校の前身は1888年に設立された前橋英和女学校だ。神戸女学院の設立にも関わった不破きよ・村山ゆきなど女性クリスチャンの呼びかけに教会や牧師たちが支援する形で開学した。
同志社大学の創設者でありクリスチャンの新島襄もその設立に参画したことは意外に知られていない。新島襄といえば上毛かるたの「へ」の札で登場する「平和の使い新島襄」だ。明治の激動期に近代日本を作るために尽力した一人でもある。
共愛学園中学高校は今年で創立129年目を迎える。同校の前身は1888年に設立された前橋英和女学校だ。神戸女学院の設立にも関わった不破きよ・村山ゆきなど女性クリスチャンの呼びかけに教会や牧師たちが支援する形で開学した。
同志社大学の創設者でありクリスチャンの新島襄もその設立に参画したことは意外に知られていない。新島襄といえば上毛かるたの「へ」の札で登場する「平和の使い新島襄」だ。明治の激動期に近代日本を作るために尽力した一人でもある。
【写真】共愛の設立に参画した新島襄(左) 共愛女学校の開校した当初の様子(右)
新島は北アメリカ初の海外伝道組織である「アメリカンボード」の所属宣教師で、同志社はグリーンやディヴィスといった来日した宣教師と共に創設された歴史を持つ。共愛学園はそのアメリカンボードの協力も得ながら、学校の礎を築いていった。
「本校はミッションスクールというより、ミッション団体の支援を得ながら地元のクリスチャンたちが立ち上げた学校という言い方が正確かもしれません」と飽田哲也校長は話す。語り口の穏やかな優しそうな校長先生だ。
【写真】共愛学園中学・高校の飽田哲也校長
1889年、大日本帝国憲法が公布されたこの年、校名を上毛共愛女学校と改称し、前橋市岩神町に校舎を移転する。
戦後、「共愛学園」と名称を変え、1947年中学・高校の併設校となった。今の学園の原型だ。
現在の小屋原町(駒形)に校舎が移転されたのが1998年。この年に、制服もボルドー色に一新された。そして、新世紀を迎えて共学化に踏み切る。2001年のことだ。
【写真】共愛学園の制服の変遷(一番左が現行のもの)
2016年は共愛学園にとってはエポックメイキングの年になった。この年、念願の共愛学園小学校が開学したことで、幼児から大学生(前橋国際大学:1999年~)までのプラットフォームを持つ県内で唯一の総合学園に進化した。
さて、中学・高校が共学化されてから16年が経過した。現在では高校1103名のうち263名が、中学241名中58名が男子生徒だ。ともにおよそ4分の1の比率になっている。
「それでも女子高としての歴史が長いせいか、未だに女子高だと思っている方もいたりしますね」。広報担当の松本拓先生は笑う。
はじまりが「英学校」でキリスト教主義の学校のため、「英語の共愛というイメージがあります」と飽田校長は話す。しかし、これは決してイメージではない。同校にとって「英語教育の実践」は学園の教育実践の4本柱の一角をしめている。次回、共愛学園の英語教育の実践を報告する。
(編集部=峯岸武司)
📎情報クリップ
●テレビ東京アナウンサー 相内優香さんの担当番組(外部リンク)
「ワールドビジネスサテライト」(毎週火・木・金曜担当23:00~23:58)
「にちようチャップリン」(毎週日曜 22:00~22:48)
「日曜夕方の池上ワールド」(日曜 16:00~17:15)など
「ワールドビジネスサテライト」(毎週火・木・金曜担当23:00~23:58)
「にちようチャップリン」(毎週日曜 22:00~22:48)
「日曜夕方の池上ワールド」(日曜 16:00~17:15)など
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