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真夏のペットボトルにご用心

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真夏のペットボトルにご用心

ライフ

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.08.05 
tags:エフシージー総研, ペットボトル 雑菌, モーニングショー テレビ朝日, 食中毒

麦茶が雑菌が繁殖しやすい環境にあるというのは意外なだけに、飲みかけのものには注意が必要だ。

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 蒸し暑い日の続く中、食中毒警報を発令する自治体が相次いでいる。

 食中毒警報とは食中毒と気象条件との間に相関関係がみられるという推測を前提に、一定の気象条件を満たした段階で食中毒予防のため、地方自治体から食品衛生行政の情報として広報されているものだ。


 条件は自治体により異なるが、気温が30度以上となる日が長期間続くと予想される場合、2日間の平均気温が27度以上で平均相対湿度が75%以上となった場合などが挙げられる。


 

 全国的にも夏の暑さで有名になった群馬県は夕立の発生率も高く、湿度も高い地域だ。その意味で、食中毒が発生しやすい条件が整っているともいえる。夏の健康管理の一環として、食品の管理には気を配らなければいけない時期だ。

 食品の管理というと、魚や肉などの生ものに目が向けられがちであるが、実は意外な食品にも食中毒のリスクが潜んでいる。ペットボトル飲料だ。

 
ペットボトルアイコン
 
 7月27日に放送された「羽鳥慎一のモーニングショー」(テレビ朝日系列)では、飲みかけのペットボトルからも食中毒が発生する危険性が指摘された。ペットボトル飲料と食中毒というのは意外な組み合わせという気もするが、衛生微生物研究センターによると、「雑菌が増殖する条件は水、温度、栄養の3つ」でペットボトル飲料はその条件を満たしやすいという。とくに糖分の多いジュースやカフェオレなどは糖分が雑菌の栄養になり、糖分が多ければ多いほど雑菌が増殖しやすくなるそうだ。とりわけ飲みかけのペットボトルは菌にとっては理想的な環境といえる。
 
ペットボトル1【写真】飲みかけのお茶系飲料にも注意が必要だ(写真はイメージ)

 飲みかけのペットボトルを放置すると飲料内部の菌の量がどう変化するか。同番組では飲料の種類ごとに2時間後、24時間後の雑菌数の増え方の検証実験を行った。実験に使われた飲み物は、麦茶・緑茶・スポーツドリンク・オレンジジュース・水・コーヒーなどだ。糖分の多い飲料で雑菌数が増加するのは想像の範囲内だが、意外だったのは麦茶。麦茶は劇的に雑菌が増加する。カテキンやポリフェノールなど抗菌作用のある成分が乏しく、穀物を原料とするので繁殖しやすいようだ。無糖のコーヒーはほとんど増えない。この結果はスタジオ内に衝撃をもって受け止められた。
 
ペットボトルアイコン
 
 では実際、飲みかけのペットボトルを放置すると、内部の雑菌数はどう変化するのか。
 この飲みかけのペットボトルと細菌数の関係について、エフシージー総研が2013年7月に検証実験を行い、そのデータを発表している。

 テストしたのは500mLペットボトル飲料で、保存料無添加の麦茶と糖分の入ったスポーツ飲料だ。それぞれ①直接口をつけて飲んだ場合、②コップに移して飲んだ場合の2パターンで検査した。
 実験では、室温27℃、湿度85%の部屋に置き、5歳の女児に2時間おきに計5回、10時間後まで30〜50mlずつ飲んでもらった。食事は途中一回、おやつは数回とってもらい、歯は磨いていないという条件だ。
 
麦茶の細菌数スポーツ飲料の細菌数(上下グラフとも「エフシージー総合研究所」調べ)
※グラフの使用許可はとっています。 
 

 結果は、ともに直接口をつけたほうの細菌が増殖しており、保存料無添加という条件ではスポーツ飲料より麦茶の方が極端に増えている。8時間後には1mLあたり3万3千となり急激な増加を示した
 検証実験を行ったエフシージー総研では、長時間持ち続けたペットボトル飲料を直接口で飲んだからといって、食中毒になる危険性は少ないとした上で、「(とはいいつつも)過信することは禁物だ」と指摘する。実際、「モーニングショー」では、繁殖する菌の種類によっては、その数に関係なく食中毒を引き起こすリスクがあるという専門家の意見を紹介している。

 麦茶や緑茶というお茶系飲料は無糖なので、飲み残しを再度口にしてしまいがちだ。だが、麦茶の場合、抗菌成分がなく穀物が主原料のため、細菌が増殖しやすい環境にある。
 
ペットボトルアイコン

 では、どう対策すればよいか。エフシージー総研のレポートや「モーニングショー」で紹介された対策をまとめると、次の3点に気を付けることで、予防できそうだ。

 ペットボトルに直接口をつけて飲んだ場合は「4~5時間を目安に飲みきる」(エフシージー総研)。
 長時間にわたって飲む場合は、口を付けたり、ストローを使ったりしないで、コップなどに移し替えて飲 
 むようにする。また冷蔵保存をすることを心がける。
 回し飲みをしない。

 30度を超す日も少なくない真夏のこの時期、ペットボトル入り飲料のお世話になることも少なくない。子どもたちは、部活動や塾通いなどで携行する機会も多いはずだ。過敏になりすぎる必要もないだろうが、飲みかけのものには注意を払いたいところだ。
(編集部=峯岸武司)

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